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過去最大のサヴィニャック展で見る、生活に息づくポスターの魅力

「サヴィニャック パリにかけたポスターの魔法」展が、練馬区立美術館で2月22日に開幕。過去最大規模かつ、これまでにない視点でサヴィニャックの作品を紹介する本展の見どころとは?

展示風景より。手前は《マギー・チキン・ブイヨン》(1962)

 2月22日に練馬区立美術館で開幕する「サヴィニャック パリにかけたポスターの魔法」は、フランスを代表するポスター作家 レイモン・サヴィニャック(1907〜2002)の作品を紹介する過去最大規模の展覧会。ポスターだけでなく、そのもととなったスケッチや原画、またポスターが貼られていた当時のパリの街を写した写真など、計201点が集まる。

展示風景より。右はサヴィニャックが人気ポスター作家となるきっかけとなった《牛乳石鹸モンサヴォン》(1948/1950)

 21日に開催された開会式で、本展を監修したパリ市フォルネー図書館学芸員のティエリー・ドゥヴァンクは、「ポスターはいまや本や美術館で見るものになっているが、もともとは生活に息づいたもの。パリの人々にとってサヴィニャックのポスターがどんな意味を持っていたのかを見てほしい」と語った。

 また、練馬区立美術館の担当学芸員・小野寛子は、本展の見どころについて「当時のフランスのリトグラフの技術の高さ、これぞフランスの色ともいうべき、淡いけれど濁りのないクリアな発色にも注目してほしい」と話す。

展示風景より。左上は《フリジェコ:良質の冷蔵庫》(1959)

 本展では、サヴィニャックの作品を年代順ではなく、「動物たち」「製品に命を吹き込む」「子どもたち」「指差すヒト」「ビック(ボールペン)」といった10のモチーフやアイデアで分類して紹介。サヴィニャックの作品への理解をより深めることのできる構成となっている。

展示風景より。左の2点は《としまえん:7つのプール》(1989)

 言葉に頼らず絵だけで多くを伝えるサヴィニャックのポスターは、日本企業からの依頼も多かった。会場の練馬区立美術館にもほど近い「としまえん」をはじめ、サントリー、森永などが依頼したポスターも並ぶ。

展示風景より。右は《森永ミルクチョコレート》(1958)

 さらに注目すべきは、大型ポスターの展示。大きいものでは幅4メートルにもなる大型ポスターは、輸送や額装に困難もあったというが、監修者のティエリー・ドゥヴァンクの「展覧会というスペクタクルのなかで、大きな作品を見てほしい」という思いにより実現したという。

 これまでにない規模と視点で「ポスターの魔術師」サヴィニャックの世界を楽しむことができる本展。練馬区立美術館での開催後には、約1年をかけて、宇都宮美術館、三重県立美術館、兵庫県立美術館、広島県立美術館の4館を巡回する。

展示風景より。中央は《ひとりでに編める ウット毛糸》(1949/1951)
展示風景より。セム・プレッサー《パリ、ポン・ルイ=フィリップ通りに貼られた「ヴィシー・セレスタン」ポスター》(1963頃、2017年リプリント)

編集部

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