「インスタ映え」が展覧会の動員に大きな影響を与えている。
森美術館で4月1日まで開催中の「レアンドロ・エルリッヒ展:見ることのリアル」が、開始48日目にして入場者数20万人(六本木ヒルズ展望台東京シティビューとの共通チケット)を突破した。
本展は、金沢21世紀美術館の常設作品《スイミング・プール》(2004)で知られるアルゼンチン出身のアーティスト、レアンドロ・エルリッヒの世界初となる大規模個展。全44作品のうち8割が日本初公開となるこの展覧会は、開幕前から大きな注目を集めてきた。会場では建物の外壁に人がぶら下がっているように見える大型作品《建物》をはじめ、試着室が延々と続く迷路のような《試着室》など、体験型の作品が多く設置。全作品が撮影可能であることも本展の大きな特徴の一つだ。
開幕から48日目で20万人突破という記録は、森美術館によると「予想を上回る数字」。その割合は20代が40.8パーセントともっとも多く、続いて30代が17パーセント、10代が15.3パーセントと若い世代が多くを占めており、40代までの入館者で9割を超えるという。館は当初、動員目標を全会期135日を通じて40万人としていたが、現在のペースが維持されれば、これを大きく上回る結果となる。
これほど入場者数が伸びを見せている要因として考えられるのが、SNSシェアだ。同館によると、10代~20代の入館者が多い理由として「観客参加型の作品があり、すべての展示作品が撮影可能である点が挙げられる」。実際、会場では友人同士やカップルがスマートフォンで写真を撮る光景が多く見られ、Instagram上でハッシュタグ「レアンドロエルリッヒ展」でタグ付けされた投稿は約1万件(1月12日現在。公開設定がされている投稿に限る)にものぼる。
近年、日本でも(部分的にせよ)写真撮影可能な展覧会が増えつつあるが、これはSNSシェアや「インスタ映え」が動員にも少なからぬ影響を与えることの裏付けでもある。
森美術館は、編集部からの「InstgramおよびInstagramでシェアできることは美術館での鑑賞体験(あるいは来館動機)に大きな影響を与えていると思うか」という問いに対し、「大きな影響を与えていると思います」と回答。「敷居が高いと思われがちな現代美術をより身近に感じて楽しんでいただきたい、との思いから全作品の撮影を可能にしましたが、来館者の半数以上が10~20代ということで、普段美術館には足を運ばない層の来館動機に繋がっているのではとの実感があります」と話す。
※入館者数は2月21日付けで40万人を突破(2月22日追記)