「Myth Makers—Spectrosynthesis III」(香港・大館/2022年12月24日〜2023年4月10日)
今日の香港でLGBTQ+をテーマにした展示を公立美術館で検閲なしに開催できるのかどうか、見極めたく訪問した。
会場のすべての出入口に注意書きがあり、検閲・撤去済作品(*1)の場所に張り紙があるのは想定内だが、各キャプション横に「映画検定審査条例(392章)承認証」や「特例承認証」が並んでいる様は、会場が旧中央警察署・刑務所が前身の建物である文脈を踏まえるといっそ壮観であった。展覧会自体はクィアコミュニティのなかでもLGBTに主にフォーカスし、アジアにおけるクィア作品の歴史叙述と現在への接続を主眼に置いていた。いまやLGBTQIA2S+とも言い、次々と多様なあり方が再発見され続ける状況においては、「第3章:クィア・フューチャーズ」はやや手薄だったが、非常に意義深い展示であったと言えよう。