東京造形大学は、1966年に開学。以来、創立者である桑澤洋子の考えに基づいた建学の精神「社会をつくり出す創造的な造形活動の探究と実践」のもと、デザインや美術を時代の精神や社会の創造に深く結び付いたものとして捉え、社会の課題を意識したデザイン・美術活動を通して、新たな価値を創造する教育を実践してきた。
附属図書館は、教育や研究に関する学内情報の集約・中継を担う機関として授業や研究活動に活用されており、利用者の資料調査の支援も実施。現代美術やデザイン分野の図書・雑誌・展覧会カタログなど、美術大学ならではの蔵書が満載で、定期的に実施している学生選書ツアーで選ばれた本など様々なジャンルの書籍を配架している。
そのほか、バウハウス関連資料やVisionaireなど、歴史的にも貴重な資料を維持・管理しているという東京造形大学附属図書館から届いたおすすめ本をご紹介する。
つくる人向けの本
ヴィクショナリー編 / 石田亜矢子・訳『魅せるブックデザイン : 印刷・製本のアイデアも豊富!』
ブックデザインの対象は表紙だけではなく、装丁・印刷など多岐にわたります。本書にはそのアイデアが詰まった120を超える実例が掲載されています。質感まで感じとれる撮影技術や、一目で特徴がわかるレイアウト。本作りの舞台裏や各デザイナーへのインタビュー。特にデジタル時代における印刷本の存在についてのQ&Aは必読です。
デジタルコンテンツと共存しながらも、個性を打ち出し魅せる努力。いまの時代のものづくりへのヒントがそこにあるのではないでしょうか。眺めて楽しむことも、読み深めて学びを得ることもできる一冊です。
年間でもっとも借りられている本
パクリノ・著 / 金智恵・訳『色塗りチュートリアル : 立体感のあるキャラを描こう! : デジタル彩色の基本』
デジタルイラストに必要な彩色について書かれた本です。色と光についての基礎知識から塗るための説明、それを実践に活かすテクニックへと分かりやすいイラストで学ぶことができます。図書館では年に2回、学生が図書館に置く本を選ぶ企画「学生選書ツアー」を実施していますが、本書は2021年に選ばれ、2022年度のベストリーダーとなりました。選書ツアーの本は学生目線で選ばれるためか、どの本も利用率がとても高いです。
アート入門にぴったりな本
エイミー・E. ハーマン・著 / 岡本由香子・訳『観察力を磨く名画読解』
最初は、そのタイトルから、アート入門にピッタリな名画の見方を学べる本だと思い手に取りましたが、美術作品を教材にして、物事を観察することの重要さ、観察したことの分析、自分が知覚した事を伝えるコミュニケーション手段について解説している本でした。
これまで意識したことのないアプローチ方法や思考方法を知ることができ、アートを学ぶ学生だけではなく、どなたにとっても情報収集能力、思考力、判断力などの向上につながる一冊です。