「Detour Tokyo」(21_21 DESIGN SIGHTギャラリー3)開幕レポート。1冊のノートブックが紡ぐ様々な物語【2/3ページ】

展示風景より

 東京展の開催に合わせ、キュレーター・長谷川祐子とアートセンターSKAC(SKWAT KAMEARI ART CENTRE)の協力のもと、16名の新たな表現者が参加した。詩人の吉増剛造、彫刻家の名和晃平、俳優の板垣李光人、アーティストの清川あさみ、デザイナーの森永邦彦、建築コレクティブGROUP、アーティストのSAIKO OTAKE、ローレン・サイ、歌手のアイナ・ジ・エンドなど、分野を超えた幅広いクリエイターが名を連ねる。

ジョルジャ・ルーピ《生命の書》(2021)の展示風景

 会場には計41点の作品が並ぶ。例えばジョルジャ・ルーピの《生命の書》(2021)は、自らの1万4496日に及ぶ人生を、刺繍によって1日ごとに記録したもの。初めての言葉や初恋、人生の節目、健康上の危機、家族との別れなど、色分けされた糸が日々の出来事を示し、個人史を織物のように可視化する。

ニコラス・ロボ《無題》(2009)の展示風景

 また、南アフリカのアーティスト、ニコラス・ロボによる《無題》(2009)は、アフリカの伝統や古代神話を探求する刺繍の連作である。ハードカバーのノート全体にリボンを縫い込み、ページの間からはゴム製の彫刻が立ち上がる。手仕事と物語が交差するこの作品は、ノートブックという媒体の枠を超え、彫刻的かつ神話的な世界観を表している。

編集部