TODA BUILDINGの開業によって注目を集める東京・京橋。アーティゾン美術館が入る「ミュージアムタワー京橋」では、「WORK with ART」をコンセプトにした新プロジェクト「WORK with ARTプロジェクト」が始動した。
同ビルは旧・ブリヂストンビルの建て替え事業として2019年7月に竣工したもの。地上23階の超高層ビルとなっており、所有・管理者の永坂産業(ブリヂストンタイヤから分社化し、「石橋不動産」として1960年に創業)が高層部オフィス部分を、公益財団法人石橋財団がアーティゾン美術館部分を区分所有している。
ミュージアムタワー京橋は、隣接するTODA BUILDINGとともに、アートと文化に注力する「京橋彩区」を構成しており、「WORK with ARTプロジェクト」はその一環をなすもの。アートによってビルを組織やビジネスパーソンの創造性を高めるものへと段階的に変貌させ、未来のオフィスビルの姿を提案することを目指す。
プロジェクト第一弾として、館内には3つのテーマを設定。そのひとつが、1階エントランスロビーの「視野の解放」だ。ここでは高谷史郎らによるダムタイプが、新作《WINDOWS》(2024)を展示する。
同作は、世界中のライブカメラの映像をリアルタイムに収集し、それらを1枚の窓に見立てた巨大スクリーンのなかで組み合わせ、ビルの中と世界をつなぐ。映像のグリッドは様々なサイズで表現され、あたかも四角い地球儀のような姿を見せる。高谷は、「発想の転換や視点の転換は我々の作品にとって重要なキーワード。この作品は、地球をとらえなおすことはできないかと考えたことがきっかけだった」と語る。
日々異なる画像が更新される本作は、ダムタイプによる初のパブリック・アート。来年半ばまで、誰もが作品を鑑賞できるようになっている。
このほか、1〜3階をつなぐエスカレーターには「気分の変容」をテーマにエンジニア集団nomena監修の音楽作品を設置。また3階オフィスラウンジは「心身の整調」をテーマに、武蔵野の森をコンセプトとする植栽中心のゆったりとした空間が創出された。
「博物館浴」(博物館見学を通して、博物館の持つ癒し効果を人々の健康増進・疾病予防に活用する活動)などで、美術鑑賞による治癒効果は科学的に明らかになりつつある。同社では、今後アート設置によるビジネスへの効果をアンケートなどで調査するとともに、今回のプロジェクトを発展的に充実させていくという。