東京・中目黒の104GALERIEで、12月22日にスタートしたドナータ・ヴェンダース展「KOMOREBI DREAMS: supported by THE TOKYO TOILET Art Project / MASTER MIND」。映画『PERFECT DAYS』で役所広司が演じる渋谷区のトイレ清掃員・平山が見る夢を映像化したのが《Komorebi Dreams》だ。ヴェンダースは次のようなコメントを残している。
「主人公の心の中で動いていく無意識の流れ、太陽と風と木によって生まれる光と影への気づき。平山のKomorebi dreamsを撮ることがこの映画で私がなすべきことだと、それ以来光に対する意識が変わりました。Komorebiを探して街中を歩き回りました。今ならわかります—これは私たちへの贈り物。ふと現れたり消えたりする天の恵みなのだと」(104GALERIEホームページより)。
光と影が抽象的な画面を描きながら移ろい、時間を忘れて見入ってしまう12点の映像作品。あわせて12点の写真作品も展示されており、そこには、共同脚本およびプロデューサーとして映画に携わった高崎卓馬が手がけた4点の詩が添えられている。いずれも「風が吹く」の1行から始まり、木漏れ日の移ろいが自身とどのように関係しているのかを端的に綴っている。
映画『PERFECT DAYS』を見る前と見た後とでは、木漏れ日という主題に込められたドナータ・ヴェンダースの思いのみではなく、映画を監督したヴィム・ヴェンダースの意図に、あるいは役所広司が演じる平山の意識にまで想像が広がり、作品の印象も変わってくるはずだ。会期は24年1月20日まで。