産後ケアにアートを。「ヴィタリテハウス」の取り組みに注目

武蔵小杉に誕生した複合施設「コスギアイハグ」。そのなかにある産前産後ケアセンター「ヴィタリテハウス」が、アートを取り入れたユニークな施設として注目を集めている。

文=橋爪勇介(ウェブ版「美術手帖」編集長)

産前産後ケアセンター「ヴィタリテハウス」の内部。正面が流麻二果の作品

 タワーマンションが林立する川崎・武蔵小杉。武蔵小杉駅から徒歩圏内の場所に、「“いのち”を育む」をテーマに掲げる「農・食・健」複合型のコミュニティ・スペース「コスギアイハグ」が今年3月に開業した。

 川崎市と民間企業が連携して取り組んでいる同施設。その内部にある健康をテーマにしたウェルネスリビング棟に誕生した産前産後ケアセンター「ヴィタリテハウス」に、いま注目が集まっている。

 「ヴィタリテハウス」は、保育園や医療事業を手がけてきた一般社団法人クレイドルが運営する産前産後ケア専用にデザインされた空間。24時間365日の助産師体制で産後のお母さんたちの心身と赤ちゃんのケア、育児練習などをする施設となっている。そしてこの施設に欠かせない大きな特徴がある。それがアートだ。

「ヴィタリテハウス」が入る「コスギアイハグ」のウェルネスリビング棟

なぜ産後ケアにアート?

 館内はスタンダードルーム5室、ファミリールーム2室、そして巨大なリビング・ダイニングで構成されており、いずれの部屋にもアーティスト・流麻二果によるコミッションワークが飾られている。

リビングルームに展示されている流麻二果の《ニクヅキ》(2023)

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