UTとのコラボTと6月のNANZUKAでの個展に次ぎ、アメリカの現代美術家ダニエル・アーシャムとポケモンによるコラボの第3弾となる展覧会「レリックス オブ カントー スルー タイム(Relics of Kanto Through Time)」が、渋谷のPARCO MUSEUM TOKYOでスタートした。
本展では、アーシャムが「フィクションとしての考古学」というコンセプトに基づき、自ら思いを寄せる「ポケモン」を題材に制作した彫刻作品を展示。ポケモンのロゴや、ピカチュウ、ヒトカゲ、ゲンガーなどカントー地方のポケモンたち、そしてポケモン図鑑など、アーシャムによって新しく生まれ変わった初公開の彫刻作品に加え、新しいインスタレーション作品も初めて公開している。
会場入口では、アーシャムが今回のコラボレーションのために制作した映像が上映。この映像のなかでアーシャムはポケモンについて、「僕がポケモンを好きだったのは、日常生活の外にあるファンタジーの世界だったからなんだ」と語る。
アーシャムは子供の頃、ポケモンが外国のものだと知らず、自国の文化や世界の一部のように感じていたという。「これはポケモンが世界中を魅了し、普遍的な本質を持つことを物語っていると思う。僕の作品の多くには、日常生活やポップ・カルチャーの様々なものが融合されている。だから、ポケモンを僕の世界で描くことはごく自然なことだよね」。
展覧会のメインコンセプトである「フィクションとしての考古学」とは、未来の考古学者の視点から今日あるすべてのものを考察し、「自分たちの日常の生活や体験を見つめる」というアイデアだ。
これから1000年後、西暦3020年にポケモンを発掘してみるという世界観から展開される作品は、一見風化したかのように見えるが、目を凝らすと年月とともに結晶化したクリスタルのようなものも生みだされている。アーシャムは、「それは現代やその文化への回想という行為であって、ポケモンのように現代を象徴する重要なアイコンについても思いを馳せることができる」と話す。
今回のコラボの意義については、アーシャムはこう続ける。「自分たちが生きているタイムフレームの外に踏みだすことは、何か得るものが多く、インパクトのあることだと思う。視野が広がり、経験を与えてくれる。そして作品を通して、人々の時間の概念を変えることができればと願っている」。
なお会期中には、渋谷PARCO1F店頭に約2メートルのブロンズ製「ピカチュウ」もパブリック・アートとして登場。渋谷PARCO内2Gでは今回のために特別に作られたオリジナルグッズも発売される。そちらもあわせてチェックしたい。