子供と一緒に美術館を思い切り楽しむ。そんな展覧会が、東京都現代美術館の「あそのびじかん」展だ。
本展では、従来の考えやルールを外れて、新しい価値や法則を発見するきっかけとしての「遊び」にフォーカスし、6組の作家を紹介。開発好明、野村和弘、ハンバーグ隊、タノタイガ、TOLTA、うしおがそれぞれ趣向を凝らした作品を展開している。
まず会場に入ってそびえるのは、開発好明の《受験の壁》(2016)だ。その名の通り、受験が迫るプレッシャーを積み重なったタンスによって表した本作。よく見るとそこには「裏口」へと抜ける道があり、その先には予想外の空間が待ち構えている。
野村和弘の《笑う祭壇》(2015)では、山のように用意されたボタンを手に取り、台座へと投げることができる。しかしその台座はとても小さく、成功するのは至難の業。しかし「失敗」したボタンは無駄にはならず、展示室の様子を変えていく。
本展でもっともインパクトのあるタノタイガ《タノニマス》(2007)。壁一面に飾られているのは、作家の顔をかたどったお面の数々だ。「匿名」を意味する「アノニマス」だが、参加者はこのお面に思い思いのデコレーションを施すことによって、個性を持った顔が次々と生まれる。
なお、これらの作品はすべて写真撮影も可能。実際に作品に触れ、遊び、記録し、大人も子供も好奇心が赴くままに楽しみたい展覧会だ。