ミュージアムと人々をつなぐオンラインプラットフォーム「MU(ミュー)」に注目。全国のミュージアムの作品や魅⼒を発信

能登印刷株式会社(⽯川県⾦沢市)が、コレクションを始めとする美術館の資産を有効活用し、人々と美術をつなぐオンラインミュージアムプラットフォーム「MU(ミュー)」のサービスを開始した。

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 展覧会図録の印刷・出版なども手がける能登印刷株式会社(⽯川県⾦沢市)が、オンラインミュージアムプラットフォーム「MU(ミュー)」のサービスを開始した。

 「MU」は全国の美術館が収蔵するコレクションを中⼼に、アートや⽂化財を鑑賞できるオンラインミュージアムプラットフォーム。各ミュージアムの所蔵作品の公開のほか、特定のテーマで作品群を集めて紹介する「EXHIBITION」(展覧会)や、学芸員の知識をMU学芸員(キャラクター)がわかりやすく解説する「動画」、それぞれのミュージアムの個性を活かした「合同企画展」など、趣向を凝らした多彩なコンテンツで美術館に眠っている魅⼒をオンラインで発信する。

 すべての⼈の⽂化的な体験を通じたQOL(クオリティ・オブ・ライフ)の向上をテーマに、美術・アートに興味のある⼈はもちろん、普段はミュージアムに⾜を運ばない⼈たちとも、楽しみ、学び、感動できるコンテンツが共有できる。全国の美術館と共創する場(プラットフォーム)として、運営していく予定だ。

 能登印刷が本サービスを立ち上げた大きな理由に、コロナ禍に美術館が休館を余儀なくされ、観客が⾜を運ばなくなったことがあるという。多くの美術館では他館からコレクションを借りる「企画展」で集客することが主流だったが、コロナによって海外からの作品貸与が難しくなった。そのいっぽうで常設展⽰を見直す機運が生まれた。

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 能登印刷は図録の印刷や出版を通じて展覧会に携わってきたが、知名度のある⼤規模な展⽰会ではなく、それぞれの地域の歴史や⾵⼟、⾵俗などが反映されているコレクション展に焦点を当てたいという考えを持つようになったという。コレクションの魅力を、キュレーターや学芸員の思いとともに伝える図録も、より多くの人々の目に触れるかたちにできる可能性がある。

 こうした課題を解決するために生まれたのが、⽇本各地の美術館に眠る「感動」や「学び」といった資産を広く届ける、オンラインのミュージアムプラットフォーム「MU」だ。「MU」の特徴を見ていきたい。

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 「MU」を使えば、これまで距離の問題などがから接点がなかった博物館や美術館に、いつでも、どこからでもアクセスでき、作品の鑑賞や学びの機会を得ることが可能。

 また、見たことのないミュージアムのコレクションや熱量のあるキュレーターが解説する動画など、そこにあるコンテンツに触れることで、知的好奇⼼を満たすことができる。

 さらに、様々なミュージアムのコレクションと接することで、分野横断の学びと、⽂化財が持つ背景を通じ、地域の⾵⼟や歴史に対する理解を深めることも可能だ。

 美術館側にとってもメリットがある。展⽰スペースがない、ニーズが少ないといった理由で公開できていなかった作品を公開し、収益化できるシステムを提供予定。情報発信によって「⽂化体験を最⼤化」することで、新しいユーザーとの接点をつくり、来館者の裾野を広げていくことが期待される。

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 また、作品のデータ化や動画などのデジタルコンテンツ制作も能登印刷がサポートする。さらに「MU」(プラットフォーム)でのユーザーの⾏動データを取得・分析し、リアルでのコレクション展⽰の企画等に活⽤することも考えられる。

 コロナ以降、美術館のあり方が様々に問われるなか、ユーザーと美術館の双方を巻き込みながら、新たな文化体験を生み出そうとする「MU」に注目だ。

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編集部

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