2022.3.30

人間のあり方を問いかける作品群。ミロコマチコ展「うみまとう」がクリエイションギャラリーG8で開催へ

絵を通した対話から多岐にわたる活動を展開しているミロコマチコ画家/絵本作家・ミロコマチコの個展「うみまとう」が、東京・銀座にあるクリエイションギャラリーG8で開催される。自然環境の一部である人間のあり方を問いかけているような絵画作品群やインスタレーション、映像などが展示される。会期は4月5日〜5月23日。

ミロコマチコ Photo by YAYOI ARIMOTO
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 東京・銀座にあるクリエイションギャラリーG8が、画家/絵本作家・ミロコマチコの個展「うみまとう」を開催する。会期は4月5日〜5月23日。

 ミロコマチコは1981年大阪府生まれ。2012年に絵本作家として『オオカミがとぶひ』でデビューして以来、国内外の数々の賞を受賞。例えば、「ブラティスラヴァ世界絵本原画ビエンナーレ」(BIB)では、『オレときいろ』(WAVE出版)が金のりんご賞、『けもののにおいがしてきたぞ』(岩崎書店)が金牌を受賞した。

ミロコマチコ
あたたかい光と冷たい空気 2021

 また画家としても評価されており、キャンバスをはみ出しそうなダイナミックな筆致で、生命力あふれる生物や植物の本質をとらえた作品で知られる。雑誌や書籍の挿画、企業広告、アートディレクション、山形ビエンナーレ2016・2018でのインスタレーション作品の発表など、絵を通した対話から多岐にわたる活動を展開し、大きな注目を集め続けている。

冬の光 2021
北風 2021

 2019年に拠点を東京から奄美大島へと移したミロコマチコは、手付かずの自然が残された島での生活からインスピレーションを得て、島に伝わる伝統的な染色を用いて土地の植物や水によってキャンバスを染め、島の自然の一部を絵に取り入れる制作を始めた。絵の制作過程にこそ生み出す力や創造性があることに気づき、染色技法で取り込むだけでなく、完成に至るまでの積み重ねた時間や環境、それらを構成する身につけていた衣服や身の回りのものも絵に貼り重ねることで制作を行っている。

Photo by YAYOI ARIMOTO

 そうした自然環境の一部である人間のあり方を問いかけているような作品群は、本展で鑑賞することができる。また、新作だけでなく、素材から作品が生み出されるまでの過程のインスタレーションや、島の森のなかでの制作風景を収録した映像なども展示される。

Photo by YAYOI ARIMOTO

 なお会期中には、ギャラリー空間を立体的に使い、音楽家とともに即興でのライブペインティングも予定。5月12日には、本展に関わった大脇千加子(WONDER FULL LIFE)と金井志人(有限会社金井工芸)をゲストにお迎えし、ミロコマチコとのトークイベントが開催される。

ミロコマチコ展「うみまとう」メインビジュアル

 本展の開催に際し、ミロコマチコはステートメントで次のような言葉を寄せている。

ペインティングを共に過ごした布や、解体した衣を染めて、キャンバスに張り、破かれた紙やビニールがコラージュされる。その絵を描くときに下に敷く布や衣はまた、その場の時や空気を纏う。そしてまた絵になっていく。
(中略)
わたしの制作する世界の中に「うみまとう」が絡まり渦を巻いていく。ライブペインティング、島の森での制作の映像、仕立てていく衣や染色の過程、生まれてくる素材、完成した絵など、今展覧会ではその一端を展示したい。