2021.12.10

写真家・日比遊一の人生をたどる写真展「foto arigato」が代官山で開催。フィルムカメラの魅力を再発見するワークショップも

写真家・日比遊一の新作を紹介する写真展「foto arigato」が開催。フィルムカメラの魅力に迫るワークショップも開催される

「foto arigato」メインビジュアル
前へ
次へ

 写真家であり、映画監督でもある日比遊一の写真展「foto arigato」が、代官山ヒルサイドテラスのエキシビションルームで開催される。会期は12月10日〜14日。

 日比は名古屋市生まれ。20歳で俳優を目指して渡米し、1992年よりニューヨークにて写真家として活動を始めた。作品はアメリカのJ. ポール・ゲティ美術館をはじめ、世界各国の美術館やコレクターに収集されている。今年は名古屋市美術館にて個展「心の指紋」を開催した。

日比遊一

 映画監督・脚本家としては高倉健の人生風儀を描いた映画『健さん』(2016)がモントリオール世界映画祭ワールド・ドキュメンタリー部門最優秀作品賞を受賞。また『エリカ38』(2019)や『名も無い日』(2021)などの監督も務めている。

 本展はモノクロ作品30点で構成。日比の写真に対する感謝の思いが込められたものだ。自身が自暴自棄になり心が塞いだときに写真と出会った日比は、カメラを通して自然、人、ものを見つめてきたことで、救われてきたという。

 今回、日比が発表する「foto arigato」シリーズはすべてフィルムで撮られたもので、「フィルムは一度焼きつけてしまえば消えることはないし、消すこともできない」という点が重視されている。日比はSNSへの投稿のために、何十枚もの写真が撮られ、気に入った写真だけを投稿する現代の写真文化に着目。こうした状況は、まるで他人事のように都合よく過去を消し去っているように日比の目に映るという。

「foto arigato」シリーズより

 日比は本展に際して次のようにコメントしている「作品はすべて過去に撮られたものですが、撮った当時は自分の作品として明確なものではありませんでした。長い年月とともに、自分の人生と重なるようにして、作品選びも写真の見方も変わった。そんな私自身の過去を写真を通してたどってみようと思いました」。

 また、会期中の12月11日には写真のワークショップも開催。フィルムカメラをこよなく愛する日比が、フィルムカメラの撮影のポイントを解説しながら参加者とともにフォトセッションを実施する。日比は、ワークショップについて次のように語っている。「写真の無限の可能性やおもしろさについてともに語り合い、ちょっとした遊びを入れながら、みなさんと一緒に撮影の場を設けれたらと思ってます」。

 日比の写真家としてのこれまでの歩みを振り返るとともに、フィルムカメラの魅力を再発見できる展覧会。ぜひ足を運んでみてはいかがだろうか。