「京都国際映画祭」は、前身となる「京都映画祭」の伝統と志を引き継ぐかたちで2014年より開催してきた映画祭だ。5回目となる今年は、「日本映画発祥の地・京都」で行う映画祭であることを再認識し、京都ならではの人材・技術・経験を活かし、伝統文化・芸能を伝承。また、「映画」「アート」「その他」の部門を展開し、京都から世界へとわかりやすく発信することを目指している。
今年の「アート」部門のテーマは「夢あるなぁ」。ある高校生の「アーティストになって、どうするんですか?」という問いへの答えを導くようなプログラム構成となっているという。
そんな「アート」部門のメイン会場のひとつとなるのは、元淳風小学校だ。ここでは、日本各地の「巨人伝説」から着想を得た山本麻紀子が「巨人の落とし物シリーズ・第二弾」として制作した巨人の歯を発表。
また、原材料1万円という制限のなか、テーマに沿ってつくり上げた作品を展示するアートプロジェクト「壱万円アート in KYOTO『1万円で作るテディベア・アート』」では、プロデューサーを務める放送作家・高須光聖が親交のある、ベッキー、西野亮廣、バカリズム、くっきー(野性爆弾)、増田セバスチャンなどの著名タレントや日本、台湾のアーティストが参加する。
元小学校という会場を生かした展示にも注目したい。かつて放送室として使用されていた部屋では、フェイクニュースが横行する現代における「情報」とは何か、アーティストの瀧健太郎がオブジェとドローイングによるインスタレーションによって問う。また、中野裕介/パラモデルは、稲垣足穂の幻想的で奇妙な短編小説「レーディオの歌」を発端に、新たな光景と音響をつくり出す。また、水彩絵具で自らの後頭部に顔を描き、布を押し当てて転写した「顔拓」を手がける若木くるみは、水飲み場を銭湯に見立てた「淳風の湯」を発表する。
こうした展示のほかに、世界各国でワークショップを行うアーティストSatolyの活動のパネル展示や、元アメリカンフットボール選手の河口正史による「肉体とアート」をテーマにレクチャーや、タレントの木村祐一、西方凌によるワークショップなども行われる。
いっぽう、元淳風小学校のほかにも、岡崎公園、ロームシアター京都 ローム・スクエアではアーティストのYottaによる、伝統こけしをモチーフにした全長12メートルにおよぶの巨大バルーン作品が登場。京都競馬場の屋外・屋内ではpadGALLERYによる作品展示のほか、ライブペインティング、パフォーマンス、ダンスなどのイベントも展開される。
「京都国際映画祭2018」は京都府内33ヶ所で開催。「映画」「アート」「その他」からなる多彩なプログラムは公式サイトでもチェックし、伝統と革新が交錯するこの映画祭で新たな感覚と邂逅してほしい。