カラヴァッジョの弟子による作品と考えられていた17世紀の絵画が、スペインで行われるオークションの開催前に取り下げられた。
イエス・キリストが磔刑を前に、鞭打たれ荊冠を被せられるという「エッケ・ホモ」を描いた同作は、従来カラヴァッジョの弟子であるスペイン人画家ホセ・デ・リベーラの作品とされており、スペインのオークションハウス「アンソレナ」に推定1500ユーロ(約19万5000円)の価格で出品予定となっていた。
しかしながらプラド美術館の専門家は、同作がカラヴァッジョ自身によって描かれた可能性があると判断。スペインの文化省は同作の輸出を禁止し、販売停止を命じた。
ガーディアン紙によると、イタリアの美術評論家で国会議員のヴィットリオ・スガルビや、ローマ大学の美術史教授でカラヴァッジョの専門家であるマリア・クリスティーナ・テルザーギは、同作がカラヴァッジョが描いたものだと断定。スガルビは、「プライベートで売れば1億から1億5000万ユーロ(約130億円〜195億円)、プラドのような美術館に売れば5000万ユーロ(約65億円)になるだろう」と語っている。
なお、2014年にはフランス・トゥールーズにある民家の屋根裏でカラヴァッジョ作とされる絵画《ユディトとホロフェルネス》が発見され、オークションの直前にプライベート契約で売却されたこともある。当時の予想落札価格は1億~1億5000万ユーロだった。