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どうすればアート市場は活性化するのか。文化庁がワーキンググループでの議論をスタート

文化庁がアート市場活性化ワーキンググループをスタートさせた。そこにある背景と狙いとは?

アートフェア東京2019の様子

 文化庁は2月18日、アート市場活性化ワーキンググループ(WG)をスタートさせた。2019年時点で、日本のアート市場規模は3590億円(うち美術品は2580億円)であり、世界市場規模の約6兆7500億円においてはわずか4パーセントのシェアと、その存在感は決して大きくない。しかしながら、富裕層の数では世界3位(世界シェア6パーセント)であり、海外での「具体」などの戦後美術の評価の高まりや、日本人コレクターの広がりなども鑑みると、日本のアートをめぐる状況には伸びしろがあるといえる。

 こうしたなか、文化庁は現代美術作品をポストコロナにおけるインバウンド政策の要としてもとらえており、最大限に活かしていきたい考えだ。

 文化庁は2018年に個人が美術品を美術館・博物館を寄託することで相続税の納税を猶予する制度を創設。昨年の税制改正要望ではここに現代美術作品を加え、国内美術館への収蔵およびその展示を促進することで、間接的に美術品市場を活性化させる制度へと強化を図ってきた。

 今回始まったWGは、マーケット活性化のためのさらなる制度・環境整備を議論するためのもので、審議項目には「保税地域に係る通達改正も踏まえた今後の対応 (オークション、アートフェア、メガギャラリー誘致)」「美術品の有効活用・価値創造を通じた現代アートの振興 (国内美術館のハブ・国際的な窓口・次世代作家育成機能整備)」「既存コレクションの有効活用と新たなコレクターの育成」「関連する税制改正及び鑑定評価制度等に係る検討」などが挙げられている。

 WGを構成する委員は日比野克彦(東京藝術大学美術学部長)、湯浅真奈美(ブリティッシュ・カウンシルアーツ部長)、秋元雄史(東京藝術大学大学美術館長)、田中靖浩(田中公認会計士事務所所長)、ローゼン美沙子(MISAKO&ROSEN ディレクター)、綿江彰禅(一般社団法人芸術と創造代表理事)。

 第1回WGでは「投資対象として美術品が見られることが重要」(綿江)という意見が出たいっぽうで、田中が「愛のある投資が必要だ」と強調。国際的なアートフェアにも多数参加するローゼン美沙子は「コレクターがないところにアートフェアを誘致しても意味がない」と指摘する。「民間では情報を発信することを試みている段階。また『投資』の意味が欧米と比べてずれている。投資が文化に対するものなのかお金に対するものなのかも検証が必要」。

 また市場の活性化のためには根本的に「アートを買いたい」という気持ちが国民に内在化されている必要があり、綿江は「ベーシックな購入を増やすためには自宅になんらかの美術品を置いてもらうことが必要」としつつ、公共的な作品の貸し出しという大胆な考えも示した。

 WGは今後2回の開催を経て議論をまとめ、文化政策部会、文化審議会に報告される予定だという。

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