熊谷守一(1880〜1977)は、明治に生まれ、大正・昭和に活躍した洋画家。明快な線と色彩で、花や鳥、庭の一角など身の回りの事物をのびやかに描いた作品で知られ、97歳で没するまで精力的に制作を続けた。今年没後40年を迎え、12月からは東京国立近代美術館での回顧展の開催も予定されている。
そんな熊谷をモデルとした映画『モリのいる場所』が、2018年に公開されることが決まった。主役の熊谷守一(通称・モリ)を演じるのは、熊谷を「僕のアイドル」と敬愛する俳優・山﨑努。その妻・秀子を樹木希林が演じ、監督は『南極料理人』『横道世之介』などの作品で知られる沖田修一が務める。
本作で描かれるのは、妻と2人で暮らし、ほとんど家の外に出ることなく、自宅の庭を眺めることを日課としていた晩年の熊谷。そんな熊谷のもとを、若い写真家や温泉旅館の主人、隣人、画商など、様々な人々が訪れる1日の様子を、エピソードをもとにフィクションで描く。
沖田は「熊谷守一さんの伝記ではなく、晩年の1日をモチーフにした、ある1日のお話にしようと思いました。それが、たくさんの長い時間を想像させることになるかもしれないと思ったからです」と語っている。シンプルで奥深い、熊谷の絵画にも通ずるような作品となりそうだ。