嗅覚アーティスト・和泉侃は、1階と地下1階に対になる2つの香りをつくり上げた。ポーラのブランド由来や成分を丹念に調べ、「100年前からそこに存在していたかのような、時間を宿した香り」を目指したという。
1階の香りは、クラフトマンシップとモダン性が融合した、有機的かつ近未来的な印象を併せ持つ。草原のようなフレッシュさに金属的ニュアンスやビワの青い香りを混ぜ、微細な“違和感”を生む構造だ。いっぽう地下1階は、根や木の温かさを感じる“安定”の香り。土の匂いに近いニュアンスが取り入れられ、ポーラの原点や生活の歴史をイメージさせる。

「1階と地下を行き来すると香りの違いが生まれ、見えないものを知覚する体験が生まれる。“安定と違和感”の往復こそが、今回の空間体験の核になる」(和泉)。
ポーラ取締役執行役員・御後章は、このリニューアルについて「光、音、香りといった見えないものを感性として立ち上げ、人が自身の内側へ静かに開いていくための装置だ」と語る。「私たち自身がまだ知らなかったポーラの新しい姿を、アーティストとの対話が次々と引き出してくれた。ここで過ごす時間が、人のなかにある可能性をそっと押しひらく場所になれば」。
五感を通して「世界を愛する力」を育む空間。「ポーラ ギンザ」は、美の概念を拡張する都市の森として、銀座の中心に新たな息吹をもたらした。




















