2029年の開館を目指す新福岡県立美術館。設計者を選定する公募型プロポーザルも実施

1964年に建設された福岡県立美術館。県は2029年度の開館を目標に、大濠公園南側(福岡・中央区)に新たな県立美術館を建設することを決定。設計者を選ぶ公募型プロポーザルも実施されている。

現在の福岡県立美術館

 福岡・天神地区にある福岡県立美術館は、1964年に福岡県文化会館として開館、1985年に全面改装され福岡県立美術館となった建築だ。長年にわたり県民に親しまれてきたが、建設から57年を経て、建物の広さや機能に限界があることなどから、県は2029年度の開館を目標に、大濠公園南側(福岡・中央区)に新たな県立美術館を建設することを決定した。

 2020年度からは専門家等で構成する「新福岡県立美術館基本計画策定委員会」による検討が重ねられ、21年11月には「新福岡県立美術館基本計画」が策定。新美術館は床面積が約1万4000平方メートル、敷地面積は約2万400平方メートルを予定しており、周辺の景観やまち並みとの調和を図りつつ、日本庭園と一体となった展示空間の活用なども目指すとしている。

 基本計画では「芸術の可能性を拡げ、挑戦する美術館」「九州・福岡県の文化芸術の発展に貢献する美術館」「県民が親しみ、誇りを育む美術館」「公園と一体となった美術館」の4つのコンセプトが掲げられている。それぞれの概要を紹介したい。

 「芸術の可能性を拡げ、挑戦する美術館」では、日本有数の文化ゾーンとしての集積やアジアとの交通の要衝であるというポテンシャルを活かし、国内外の芸術家が交流し文化芸術活動を展開する拠点になることを明示。また、若手芸術家の創作・発表の場として活動を支援する場所にもなるという。

 「九州・福岡県の文化芸術の発展に貢献する美術館」としては、福岡県ゆかりの作家の美術作品や工芸品、関連する資料などを体系的に整理し、福岡県の美術活動の過去・現在・未来を発信していく拠点とることが明示されている。ゆかりの作家の作品や貴重な資料のより一層のコレクションの充実も図るとしている。

 「県民が親しみ、誇りを育む美術館」では、地域や学校、県内美術館等と連携し、文化芸術活動の効果を県内各地域にもたらす地域活性化の拠点となることが目指される。

 そして「公園と一体となった美術館」においては、大濠公園と親和しつつ広く周辺地域にも活動の場を広げ、人々が文化芸術を感じることができる、このエリアのランドマークを目指すという。

 なお、この新福岡県立美術館の基本設計については、設計者を選ぶ公募型プロポーザルが実施されている。参加表明書の提出は9月14日から20日までとなっている。詳細は福岡県のホームページを参照していただきたい。

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