ロイヤル・カレッジ・オブ・アートが新キャンパスを公開。STEAM教育を目指す

1837年に設立され、ロンドンに所在する美術大学ロイヤル・カレッジ・オブ・アート(RCA)がバタシー地区に新しいキャンパスをオープン。それとともに、RCAは2022年〜27年の5ヶ年戦略も発表した。

ロイヤル・カレッジ・オブ・アートの新キャンパスの外観 Photo (C) Iwan Baan

 アート・デザイン分野において世界有数の美術大学、ロイヤル・カレッジ・オブ・アート(RCA)。そのロンドン・バタシー地区にある新キャンパスが公開された。

 建築設計を担当したのは、プリツカー賞の受賞建築家ユニットであるヘルツォーク&ド・ムーロン。イギリス財務省による5400万ポンド(約87億円)の助成金に加え、国内外の篤志家や産業界のパートナーからの支援を含め、合計1億3500万ポンド(約216億円)の資金が投じられたという。

 今回の拡張は、RCAがSTEAM(科学、技術、工学、芸術、数学)に焦点を当てた大学院大学へと変貌を目指すもの。コンピューターや材料科学、ロボット工学、視覚化とデータ科学などの分野を拡大することで、現代のもっとも緊急な課題に取り組むようになる。

ロイヤル・カレッジ・オブ・アートの新キャンパスの外観 Photo © Iwan Baan
ロイヤル・カレッジ・オブ・アートの新キャンパスの内観 Photo © Iwan Baan

 新キャンパスには、彫刻、現代美術、映像、デザイン学部のためのスタジオスペースのほか、多機能アクティビティスペース、ロボット工学のための研究実験・組立エリア、材料科学、ソフトロボティクス、AR・VRなどの分野のための独立した機密研究スペース、企業、起業、インキュベーション、ビジネス支援のためのイノベーションセンター「InnovationRCA」などが新設される。

 RCAの副学長であるポール・トンプソンは声明文で、「この素晴らしい新校舎は、オープン、コラボレーション、学際的、大胆といった、RCAの最高かつもっとも重要なものをすべて体現している」としつつ、「この新しい施設により、世界をリードする次世代のデザイナー、アーティスト、創造的な起業家が、人々と地球のためにより良い未来を描くための最高の機会をすべて手に入れることができるだろう」との期待を寄せている。

インテリジェント・モビリティ・デザインセンター Photo © Iwan Baan
ロボティクス格納庫 Photo © Iwan Baan

 新キャンパスの公開とともに、RCAは2022年〜27年の5ヶ年戦略を発表。この戦略では、学際的な思考を駆使して地球規模の問題を解決するという野心を示すとともに、世界でもっとも才能ある教員、学生、アーティスト、デザイナー、支援者を引き続き引きつけることを目標として掲げている。

 主な施策には、モビリティと都市、気候危機と循環型経済、高齢化と包括性、デザインとAIといった4つの21世紀の課題に対する新たな洞察とリーダーシップの育成や、デザイン・ロボティクスとゲーミングなど新たな修士課程の開設、奨学金や学生支援金の増額により黒人や有色人種の学生や研究者の受け入れ、InnovationRCAを通して年間20社のスタートアップ企業への支援などが含まれている。

ウェストン・スタジオ Photo © Iwan Baan

 RCAの理事長であるジョニー・アイブは次のように述べている。「ロイヤル・カレッジ・オブ・アートは、その優れたアートとデザインの大学院教育により、世界的に尊敬を集めているユニークな機関だ。私たちの仕事環境は、創造やコラボレーションの方法に強い影響を与えており、カレッジの歴史におけるこの新しい章と、卒業生が世に送り出す刺激的な作品にとても期待している」。

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