ウクライナの復興支援プロジェクトも予定。「Reborn-Art Festival 2021-22」後期開催に向けたメッセージとは

今年8月20日〜10月2日に予定されている「Reborn-Art Festival 2021-22」(後期)。その一部のプログラムやメッセージが、実行委員長・小林武史らによって明らかにされた。

前列の左から小林武史、和多利恵津子、和多利浩一

 今春の開催を予定していたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響により今年の夏に延期された総合芸術祭「Reborn-Art Festival 2021-22」(後期)。その一部詳細が明らかにされた。

 昨年8月11日〜9月26日の会期で行われた前半は、宮城県石巻市・牡鹿半島の6つのエリアで23組のアーティストが作品を展開し、期間中は延べ約10万人の来場を記録した。今年8月20日〜10月2日に予定されている後期は、引き続き「利他と流動性」をテーマに、2017年と19年に同芸術祭でキュレーションを手がけたワタリウム美術館館長・和多利恵津子と同館代表・和多利浩一の姉弟をキュレーターとして迎える。

 「利他と流動性」というテーマについて、同芸術祭の実行委員長・小林武史は4月25日に行われた記者会見で、疫病や戦争など様々な困難があるなかで「必ず新しい出会いが生まれる」とし、「アート・食・音楽を表現することで、ネガティブなことからポジティブへという動きが生まれる」と話している。

左から小林武史、和多利恵津子、和多利浩一

 今回は石巻市街地エリア、荻浜・桃浦エリア、鮎川エリアの3エリアを中心に作品が展開。朝吹真理子、雨宮庸介、梅田哲也、オスジェメオス、小谷元彦、風間サチコ、加藤泉、川俣正、SIDE CORE、さわひらき、山内祥太などのアーティストが参加する。

 例えば、加藤泉は石巻・稲井地区で採石された稲井石を使った彫刻作品を展示。2017年と19年にも参加したSIDE COREは、石巻南浜津復興祈念公園の一角を使い、「何もつくっていない工場現場」のようなインスタレーション作品を発表する。

 独自のリサーチを徹底して作品を制作することで知られる風間サチコは、東日本大震災で失われた石巻の風景と現在の風景を見渡しながら、独自の造形を絵に書き留める作品を発表。世界中のビエンナーレや芸術祭で作品を発表してきた川俣正は、会期中にずっと明りを灯し続ける巨大な灯台作品を制作する予定となっている。

 また、後期のキービジュアルには小谷元彦が現在制作中の彫刻作品《Surf Angel -provisional monument 2》が使われている。⽔着姿で⼤きく⼿を広げバランスをとっている天使の⽻根には、希望の炎が灯り、頭は「無限」を示す図形で覆われているという作品だ。

後期のキービジュアル

 この作品をキービジュアルとして選んだ理由について、和多利恵津子は「2022年、誰も生きるのが難しい時代を迎えたなかで、この天使が私たちの行くべき方向に連れていくのではないかと感じた」と説明。

 震災から10年あまりが経って街の再生が進んでいる石巻地域。和多利恵津子は、「人々の心などもっと深いところで、未来はどこを目指して生きていったらいいのかということを、アートがお手伝いできるのではないか」と述べている。

 なお今秋には、Reborn-Art Festival 2021-22の参加アーティストに寄付を募った作品を石巻市街地にある旧観慶丸商店で展示し、その後オークションで販売する「ウクライナ戦後復興支援プロジェクト」も実施予定。収益金はウクライナの復興のために寄付されるという。

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