アイ・ウェイウェイらによる政治的に挑発的な作品をめぐり、今年大きな論争が起こっていた香港のヴィジュアル・カルチャーミュージアム、「M+」(エムプラス)。同館が最近リニューアルしたウェブサイトから、アイの一部の作品画像を削除したことがわかった。
Artnet Newsの報道によると、アイが北京の天安門広場に向けて中指を立てた写真《Study of Perspective: Tian'anmen》(1997)や、清朝時代に建てられた寺院を解体して回収した木材でつくられた中国地図の立体作品《Map of China》(2003)などの作品画像がM+のウェブサイトから削除され、当局の審査を受けているという。
同館のコレクションは2016年にそのウェブサイトで初めて公開され、その際にはこれらの作品画像が閲覧可能だった。今年リニューアルしたウェブサイトのベータ版でもアイの天安門広場の作品画像が表示されていたが、8月10日に公開された最終版サイトでは見られなくなった。
M+は、美術手帖の取材に対して次のような声明文を出している。「M+では、映画・新聞・記事管理局(OFNAA)をはじめとする関係当局からのアドバイスを参考に、一部の作品画像の取り扱いを見直しています。 見直しが完了するまで、当該画像はアップロードされません」。
またアイの作品のほか、政治的な作品を数多く制作しており、今年香港から台湾に亡命したケイシー・ウォンをはじめ、陳羚羊(チェン・リンヤン)、郎靜山(ラン・ジンサン)、高氏兄弟など多くのアーティストの作品が表示されなくなっている。
今回の作品画像の取り扱いについて、同館はこう続けている。「M+コレクションは継続的に増加しており、そのデジタル化は継続的に行われています。このプロセスでは、ミュージアムによるコレクションのデータの継続的な調査、強化、翻訳が行われています。コレクション・オンラインは、新しい作品、情報、知的財産権が利用可能になると、定期的に更新されます」。