ピエールパオロ・ピッチョーリがディレクターをつとめるヴァレンティノ。その2021-22年秋冬オートクチュールコレクションが、7月16日にヴァネチア・ビエンナーレの会場としても使用されてきた「ガッジャンドレ」で発表された。
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同コレクションは「ヴァレンティノ デ アトリエ」と名打たれ、作家でありキュレーターのジャンルイジ・リクペラッティが選んだ17人のアーティストと協業。それぞれのクリエイションからインスピレーションを得て、ピッチョーリがドレスを制作。また、オートクチュールの知識や才能によって、アーティストにもインスピレーションを与えられることを目指した。
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今回のコレクションの制作に参加したアーティストたちの多くは画家だ。これは、伝統的でありながら革新を続け、刷新可能な美であるという点で、アートにおける絵画の在り方とファッションにとってのオートクチュールの存在が似ているからだという。
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参加したアーティストは、ジョエル・S・アレン、アナスタシア・ベイ、ベンニ・ボセット、カトリン・ブレマーマン、グッリェルモ・ カステッリ、マウリツィオ・チリ、ダニロ・コッレアーレ、ルカ・コーザー、ジャミー・ネアーズ、フランシス・オフマン、 アンドレア・レスピノ、ウー・ルイ、ソフィア・シルヴァ、アレッサンドロ・テオルディ、パトリシア・トライブ、マルテ・ ゼンシス、カースティン・ブラッチ 。
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ピッチョーリはこのプロジェクトについて次のように語っている。 「ファッションは『アート』ではありません。アートには作品自体の他に目的がないのに対し、ファッションには常に実用の範囲や機能、用途があるためです。違いを認識することは、好奇心を抱き、情熱と敬意を持って互いの意見に耳を傾けるための最初のステップです。相手に耳を傾けて話を聞くという行為は、オートクチュールのように、そしてまさにアートのように、長い時間を要します。そのためこのプロジェクトはゆっくりと進行し、それは私たちが生きるこの日常にはないペースかもしれませんが、私が生きたいと願う世界という意味ではそれはまさに適切でしっくりくるものでした」 。
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