インターポール(国際刑事警察機構)は5月6日、盗難美術品に特化したアプリ「ID-Art」をリリースした。
このアプリは、インターポールの盗難美術品データベースへアクセスできるもの。同データベースは盗難美術品や行方不明になった美術品に関する警察認定の情報を含む唯一のグローバルなデータベースとなっている。
登録されている盗難美術品は5万2000点以上で、警察や税関職員だけでなく、個人コレクターやディーラーなどが盗難美術品を即座に確認できる。データベース検索は写真による画像検索と検索条件を入力する手動検索が可能だ。
作品詳細情報はインターポールに通報できる仕組みとなっており、これまで以上の盗難美術品の発見が期待される。
また、「オブジェクトID」と呼ばれる国際標準規格を用いることで、美術館や個人コレクターは美術品の画像や特徴をアプリに記録し、コレクションの管理をすることも可能。インターポールは万が一作品が盗難にあった場合も、こうした登録情報を警察に提供することで、発見の可能性が高まるとしている。
インターポール事務局長のユルゲン・ストックは、「近年、武力紛争、組織的な略奪、文化的浄化に起因する、テロリストによる各国の文化遺産の未曾有の略奪を目の当たりにしてきた。この新しいツールは、警察官、文化遺産の専門家、そして一般の人々が共通の遺産を守る能力を高めるための重要な一歩となる」とコメント。
また国際博物館会議(ICOM)のアルベルト・ガルランディーニ会長は「世界の遺産は、自然災害、略奪、紛争などのリスクにさらされている。インターポールは美術館の専門家や民間人に、リスクにさらされている遺産を保護するために必要な革新的なツールを提供している」と評価している。
アプリは「Play Store」と「App Store」で無料ダウンロードできる。