台風被害の川崎市市民ミュージアム、民俗資料や『花とゆめ』など1204点の追加廃棄処分を発表

令和元年東日本台風によって収蔵庫の浸水と収蔵品の被災を受けた川崎市市民ミュージアム。いまも収蔵品のレスキュー作業が続くなか、川崎市は新たに同館所蔵の資料1204点について廃棄処分すると発表した。

廃棄処分となった「藁大蛇」 提供=川崎市

 2019年10月に発生した台風19号によって被災した川崎市市民ミュージアム。9つの収蔵庫への浸水被害が発生し、収蔵品のレスキュー作業を経て修復作業がいまも続いている。

 今年1月には修復作業の過程で収蔵品の廃棄処分を決定。「被災状況が酷く、複製印刷物などで市民ミュージアム以外でも存在が確認できた又は同一のものが入手できる場合」という条件で、所定の手続きにより管理台帳の登録を抹消したうえで、約4万点の収蔵品を廃棄処分することになった。

 こうした状況のなか、2月28日までの修復作業において、川崎市は新たに収蔵品1204点の廃棄を決定。その内訳は、1987年に寄贈された「藁大蛇」や、1991年の企画展にあわせて制作された「カシマニンギョウ」「ドウソジンサン」といった民俗資料のほか、『花とゆめ』『LaLa』『週刊少年キング』などのマンガ雑誌となっている。

廃棄処分となった「カシマニンギョウ(小)」 提供=川崎市
廃棄処分となった「カシマニンギョウ(小)」の被災後の様子 提供=川崎市

 約22万9000点の被災収蔵品のうち、2月28日時点では、応急処置が施されたものが4万9000点、修復中のものが4833点、修復済みまたは修復不要のものが567点、そして処分されるものが4万2237点(雑誌を冊数、フィルムを巻数で集計した場合)となった。

被災後の漫画雑誌 提供=川崎市
被災後の漫画雑誌 提供=川崎市

 同館は昨年12月に、被災から収蔵品レスキューまでの様子を収めたドキュメンタリー映像を公開しており、修復の過程を動画で見ることができる。また、川崎市の検討部会によって、従来の施設で展示・収蔵することは難しいとの意見が出されており、館の今後については検討中となっている。

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