水没した川崎市市民ミュージアムの収蔵品救出が完了。応急処置を経て数年をかけ修復へ

2019年10月の台風19号により、収蔵庫への浸水と収蔵品の被害が確認された川崎市市民ミュージアム。昨年より収蔵庫からの救出や修復作業が続いてきたが、6月19日に被災収蔵庫からの救出が完了した。

収蔵庫から運び出された考古資料 提供=川崎市

 2019年10月の台風19号(令和元年東日本台風)により、9つの収蔵庫への浸水被害を受けた川崎市市民ミュージアム。昨年10月より被災した収蔵庫から収蔵品を運び出す作業が続いていたが、6月19日にすべての収蔵品の搬出が完了した。

収蔵庫から作品を移動するための梱包作業 提供=川崎市

 運び出された同館の収蔵品は、民俗・考古分野から写真・マンガ・グラフィック・映像分野に及ぶ約22万9000点。腐食の進行を防ぐために、市民ミュージアム前に設置された冷蔵・冷凍コンテナにて保管され、虫菌を防ぐための燻蒸も順次実施。先に救出された収蔵品のなかには、県指定の重要文化財《鰐口(春日神社)》(1403)や市の重要歴史記念物《紙本墨画淡彩 仙女図》(16世紀)など、すでに修復を完了したものもある。

《紙本墨画淡彩 仙女図》(16世紀)の修復状況、左から修復前、修復後 提供=川崎市

 今後は、独立行政法人国立文化財機構をはじめとする文化遺産防災ネットワーク推進会議の10団体などの専門的な知見を取り入れながら、収蔵品の応急処置の優先順位を決めつつ、修復作業に向けた計画を立てていく。最終的な修復作業完了には数年を要するとしている。

燻蒸後に保管される作品 提供=川崎市

 なお、被災した川崎市市民ミュージアムの施設の今後の動向については、現施設での再開の可否も含めて検討中となっている。

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