10月12日から13日にかけて関東地方を縦断した台風19号の被害により、地下階が水没した川崎市市民ミュージアム。現在、館内の電気設備や空調が使用不能となり、9つの収蔵庫への浸水と収蔵品の被害が確認されている。
こうした状況のなか、川崎市は23日、川崎市市民ミュージアムの救援のため、技術的支援を文化庁に要請。24日には文化庁の文化財等災害対策委員会の承認により、川崎市への技術的支援が決定された。
川崎市市民ミュージアムの所蔵品は多数にのぼり、その分野は複数にまたがる。救出にあたっては専門的な知見を持つ外部の専門家の協力が不可欠であるため、文化庁は独立行政法人国立文化財機構に協力依頼を行った。
今後、国立文化財機構は、同機構が有する文化遺産防災ネットワーク推進会議のネットワークを活かし、川崎市に対して具体的な支援を実施。所蔵品の応急措置や、施設での一時保管といった活動を、技術的に支援していく。
文化遺産防災ネットワーク推進会議の基盤となっているのは、2011年3月の東日本大震災の発生を受け、文化庁により立ち上げられた「文化財レスキュー事業」だ。その発展的解消として、2014年7月に文化庁の補助金事業としてスタートしたのが、文化遺産防災ネットワーク推進会議である。
同会議は、国内の博物館、美術館、図書館、文書館で組織される団体、地域史料ネットワーク、各種学会など24の組織によって構成される。推進本部は国立文化財機構に設置され、災害に備えている。