2020.6.25

秋吉台国際芸術村の当面の存続が決定。移管・廃止等の検討を凍結

山口・美祢市の複合芸術施設、秋吉台国際芸術村。昨年8月、山口県が同施設の廃止および美祢市への委譲を検討する方針を打ち出していたが、6月17日の山口県地方財政改革協議会で当面の検討凍結が決まった。

秋吉台国際芸術村の本館棟 出典=ウィキメディア・コモンズより

 1998年に山口・美祢市に設立された秋吉台国際芸術村。同施設の廃止および美祢市への委譲を検討する方針を、設置者の山口県が打ち出していたが、6月17日の山口県地方財政改革協議会で検討を当面凍結することが決まった。

 秋吉台国際芸術村は、24時間利用可能なホール、研修室、スタジオ、ギャラリー、野外劇場、宿泊棟を備えた芸術複合施設で、これまでに芸術家を育成する交流セミナーや、同県出身の若手アーティストの創作活動支援、子供たちの文化体験の機会提供、アーティスト・イン・レジデンス事業などを行ってきた。

 しかし19年8月、山口県は「芸術村の利用の低迷」を理由に、行財政改革の一環として秋吉台国際芸術村を廃止、または美祢市に委譲の方向で検討することを発表。これを受けて、芸術村の存続を求める声が高まり、存続に向けた署名活動が行われていた。

 存続署名を行う団体は、芸術村が利用人数の多寡、効率性だけで判断できない性格の施設であることを主張。利用率は設立当初より大きく増しており、人材育成や県民の自主的な活動を支え、国内外からも利用者が集まっていることを強調していた。

 今年1月には存続キャンペーンの主催者が、1万8000筆あまりの存続嘆願署名を山口県庁に提出。そして6月17日の山口県地方財政改革協議会において、秋吉台国際芸術村を含む県有11施設について、当面、市町への移管・廃止等の問題を凍結することが発表された。芸術村運営の指定管理更新時期が来年に迫っているため、少なくとも5年間は現体制で継続されることになる。