大阪の民間財団である一般財団法人おおさか創造千島財団は、アーツカウンシル大阪とともに新型コロナウイルスによる大阪の芸術文化関係者への影響を調査。その結果を公表した。
今回実施された「大阪における文化芸術関係者への新型コロナウイルスの影響に関する実態調査」は、新型コロナによる活動自粛の要請等によって、大阪府在住または大阪府内を活動拠点としている文化芸術に関わる個人(実演家、創作者、技術者、制作者など)、団体・事業所が受けている影響やニーズ等の実態を把握するためのもの。5月28日から6月5日までの9日間、ウェブ上で行われ、有効回答数は個人対象748件、団体・事業所対象162件の合計910件となった。
有効回答者のうち、主たる発表・活動場所を大阪市とする割合は、個人および団体・事業所共に8割弱で、30代以下が46パーセントと約半数を占めた。主たる表現分野は、演劇・舞踊がもっとも多く39パーセント、次いで美術26パーセント、音楽25パーセントなど。
文化芸術活動を専業としている人が34パーセントで、兼業が66パーセント。とくに「技術提供」分野では、文化芸術活動のみに従事している回答者が約6割という高い数字を示しており、収入損失額も他分野よりも大きくなっている。
今回の新型コロナで、公演、展示、イベント等が延期または中止になったと回答したのは、個人対象が89パーセント、団体・事業所対象が93パーセント。個人では、66パーセントが文化芸術とは別の仕事もしているが、別の仕事でも収入の損失があるとの回答が6割(全回答者の4割)を超えた。
「現在困っていること」では、「創作発表の機会が失われたこと」(個人対象71パーセント、団体・事業所対象65パーセント)となっており、次いで「活動再開のタイミングや方法が分からないこと」(個人対象54パーセント、団体・事業所対象55パーセント)。「半年〜1年先に困りそうなこと」についても、「創作発表の機会が減少すること」(個人79パーセント、団体・事業所対象59パーセント)は高い数字を示しており、コロナの影響の長期化が懸念されている。
また「必要としている支援」については、「公演、展示、イベント等の延期・中止による損失分の支援」(個人対象59パーセント、団体・事業所対象65パーセント)、「活動再開や新規事業展開に向けた支援」(個人対象62パーセント、団体・事業所対象59パーセント)などが多く挙げられており、より手厚い経済的な支援が必要とされている実態が明らかになった。
新型コロナ関連の実態調査では、京都市がすでに「京都の芸術家等の活動状況に関するアンケート」を行っているが、地域に根ざした調査はまだ少ない。今回の大阪のケースのように、他の地域でも文化政策に活かすための実態調査が求められる。