ウェブで展開されるドット絵のギャラリー「oMoMa」。オンライン展示のあり方を問う

ゲームデザイナーのパオロ・ペデルチーニが、ドット状のグラフィックによるオンラインギャラリー「oMoMa」を開設。新型コロナウイルスの影響により、世界中の美術館やギャラリーがオンライン展示を実施する現状を受けたプロジェクトだ。

LIKELIKE Onlineより、oMoMa

 ゲームデザイナーのパオロ・ペデルチーニが、レトロゲームのようなドット状のグラフィックによるオンラインギャラリー「oMoMa」を「LIKELIKE Online」上で公開している。ペデルチーニはアメリカ・ピッツバーグでゲームスペース「LIKELIKE」を運営していたが、新型コロナウイルスの影響のより休業。これを受けて、オンライン上で実験的なゲームを展開するスペース「LIKELIKE Online」をオープンさせた。

LIKELIKE Onlineより

 この「LIKELIKE Online」には、簡単なドット状のキャラクターアバターを作成して誰もが入ることができ、アバターを操作しながら、月ごとにキュレーションされた実験的なゲームをプレイできる。オンラインギャラリーの「oMoMa」は、この「LIKELIKE Online」に隣接しており、プレイヤーはゲームスペースから部屋を移動することで「oMoMa」を訪れることになる。

LIKELIKE Onlineより、アバターの制作画面
LIKELIKE Onlineより

 「oMoMa」は3階建てのギャラリーで、館内にあるいくつかの部屋で作品が展示されている。5月の展覧会は来訪者が入力する文字を素材に展開するものだ。同じ言葉を一度しか言えない「Cencership Room」や、音楽とともに言葉をつぶやく「Rhyme Room」、つぶやいた言葉が粋な英国風の言葉に翻訳される「VIP Room」などが展開されている。また、展示を見るだけでなく、作品を鑑賞しながら他の来場者のアバターと会話をすることもできる。

LIKELIKE Onlineより、oMoMa

 制作とキュレーションを担ったパオロ・ペデルチーニは、このプロジェクトについて、以下のようにブログでコメントしている。「このプロジェクトは、新型コロナウイルスの影響下でアートの世界が強制的に仮想化されたことへの皮肉であると同時に、仮想美術館というジャンルへの挑戦でもある。現在の多くのバーチャル・ミュージアムは、ホワイトキューブ、贅沢な建築、キュレーターのトーク、記念碑的なインスタレーションなどを、そのまま3Dゲームのエンジンに移植したような形式だが、それらはほとんど静的でインタラクティブではない。私はこの作品で、空間の特殊性を利用しながら、展示空間の社会的ダイナミクスを再現した遊び心のある空間をつくりたいと考えた」。

LIKELIKE Onlineより、oMoMa

 通常時の来訪者は多くないが、展覧会のオープニングやイベントの開催時には多くの人が集まりコミュニケーションするという。メトロポリタン美術館ゲティ美術館が参入するなど、アートの仮想プラットフォームとして任天堂の「あつまれ どうぶつの森」が人気を集めているが、バーチャル空間における作品体験のあらたな形式として「oMoMa」にも注目だ。

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