アーティゾン美術館で7月11日からの開幕を予定していた「クロード・モネ ― 風景への問いかけ」が、新型コロナウイルスの影響により開幕を2021年に延期することが発表された。
同展は73点のモネ作品を有するオルセー・オランジュリー美術館との協働により、国内所蔵品を加えた約140点を紹介するモネの大回顧展。アーティゾン美術館によれば、開幕に向けて調整を続けてきたが、日本・フランス両国の新型コロナウイルスの感染拡大の影響のため、20年中の開幕は困難と判断。2021年初夏に開幕延期を決めた。詳しい会期は決定次第告知するとしている。
同展は、パリのオランジュリー美術館に収められている《睡蓮》の連作に結実する風景表現の主題や舞台装置を探りながら、個々の作品が連続性のなかで発展していた事実を示そうとする展覧会。
モネの作品だけでなく、フランスの映像作家、アンジュ・レッチアが《睡蓮》を主題に制作した映像作品のほか、モネと同時代の画家たちや、新しい表現としての写真、そして西洋の文脈とはまったく異質である浮世絵などの日本美術や工芸作品を同時に展示。それらの作品が、モネの画業にどのような影響を与えたか、周縁からも考察を深める意欲的な展示を予定している。
新型コロナウイルスの影響により、同展をはじめ、特に海外からの作品借用を要する展覧会に影響が及んでいる。これまでに「ボストン美術館展 芸術×力」(東京都美術館ほか)の中止、パナソニック汐留美術館「ルオーと日本展」やポーラ美術館「モネとマティス」展の展示内容の変更が発表された。