新型コロナウイルスの影響で、多くの展覧会が延期や中止を迫られるなか、東京都美術館で開催予定だった「ボストン美術館展 芸術×力」もその開催中止が発表された。
東京都美術館は、「日米両国の新型コロナウイルス感染拡大の影響により、作品輸送の目途が立たないことから、展覧会の中止を決定いたしました」と同館Twitterを通して発表。チケットの払い戻しは4月20日から7月31日を予定しているという。
同展は、1876年に開館したボストン美術館が所蔵するコレクションから約60点が来日するというもので、東京都美術館を皮切りに、福岡市美術館、神戸市立博物館を巡回予定だった。このうち東京と神戸は中止。福岡は対応を検討中だという。
展覧会では、出品作品に「日本に残されていれば国宝」とも言われるふたつの絵巻、《吉備大臣入唐絵巻》(平安時代後期)と《平治物語絵巻 三条殿夜討巻》(鎌倉時代)や、日本初公開となる江戸時代中期の大名・増山雪斎が描いた二幅一対の《孔雀図》なども含まれており、開催前から注目を集めていた。
新型コロナウイルスをめぐっては、パナソニック汐留美術館「ルオーと日本展」やポーラ美術館「モネとマティス」展でも海外からの作品借用に影響が出ており、展示内容の変更などが余儀なくされている。
なお、新型コロナによって開幕延期や中止となった展覧会の一覧はこちら。マスコミと美術館が共催する展覧会では大きな経済的損失が発生している。