新型コロナ危機からいち早く回復しつつある中国では、上海博物館や上海当代芸術博物館などの博物館・美術館が3月より再開しているいっぽう、北京・798芸術区にあるユーレンス現代美術センター(UCCA)も5月21日の再開を決定した。
1月24日より一時的に休館している同館では、オンラインコンサート「良楽」(リァンユエ)を2回開催し、坂本龍一やアルヴァ・ノトなど世界的なミュージシャンが参加。また、3月にはオンライン上映会シリーズもスタート。国際女性デーにあわせて女性の描写に焦点を当てた作品や、世界的なSF映画を特集した2回の上映会では、26万人以上のユーザーが視聴したという。
また、河北省北戴河(ほくたいが)黄金海岸にある同館の分館「UCCA砂丘美術館」でも、「Resistance of the Sleepers」と題されたグループ展が4月30日に開幕した。
5月21日に開幕を予定されている、798芸術区内の24のギャラリーや美術館が参加するイベント「ギャラリー・ウィークエンド・北京」にあわせ、同館では「Meditations in an Emergency」というタイトルの展覧会を開催。商業的・文化的交流が停止を余儀なくされている新型コロナの世界的流行のなかで、「アートとは何のためのものなのか」ということを問いかけるものだ。
また6月27日に開催を予定されている、ロンドンのナショナル・ポートレート・ギャラリーとのコラボレーションにより企画された「エリザベス・ペイトン展」も、予定通り開催されるという。
美術館の再開について、「良楽」を企画した同館の副館長・尤陽(ユー・ヤン)は「政府の関連指示にしたがって来館者数の制限や予防措置を実施する」とコメント。「ウイルスの流行が緩和したあと、アートも鑑賞者も互いに再会することを期待している。しかし、私たちは依然として特殊な時期にいながら、不確定な状態で運営をしており、我々のアートへの情熱だけでなく、社会的責任の認識や、運営能力が試されている」としている。