展覧会内容が「反日的」だとする批判を受け、在オーストリア日本大使館が10月30日付で日本・オーストリア友好150周年事業の公認を撤回したウィーンの展覧会「JAPAN UNLIMITED」。この撤回に対し、参加作家のひとりである会田誠が抗議の意を示した。
同展は、ウィーンのキュレーターであるマルチェロ・ファラベゴリがキュレーションしたもので、会田誠をはじめ、三田村光土里、丹羽良徳らが参加。展覧会は9月26日から始まっており、今回の撤回はそれから1ヶ月以上が経過してからの異例の対応となった。朝日新聞などの報道によると、自民党の長尾敬衆議院議員が展覧会について外務省に問い合わせたことが分かっている。
この事態に対し、会田は次のようにTwitterで抗議する。
ジレンマや重層性に主眼がある、独立した作品であることは明らかです。この作品を見ずに何かを判断した者がいることに、強い抗議の意を示します。
— 会田誠 (@makotoaida) November 7, 2019
会田は、自身が総理大臣に扮した映像作品《The video of a man calling himself Japan’s Prime Minister making a speech at an international assembly》(2014)を出品しており、今回の撤回を受けて改めて作品の意図をウェブサイトで公開。自身が扮しているのはあくまで架空の人物であり、Twitterでも「この世のどこにもけして実在しようもない一人の国家元首を、あえてリアリズムから離脱し、思考実験的にこしらえたものです」と説明している。
映像作品をめぐっては、「あいちトリエンナーレ2019」で大浦信行の作品の一部のみが切り取られ、ネット上に流布したケースもあった。このようなケースを鑑みてか、会田は作品の全文書き起こしも同時に掲載している。映像を閲覧できない人はぜひこちらを確認してほしい。