いまアメリカ・ニューメキシコ州のサンランドパークとメキシコ・シウダードファレスの国境に行くと、両国の子供たちが、国境フェンスをまたぐピンク色のシーソーに乗って遊んでいる光景を見ることができる。
この3本のシーソーは、カリフォルニア大学バークレー校の建築学教授、ロナルド・ラエルとサンノゼ州立大学の助教、バージニア・サン・フラテッロが率いる建築事務所「Rael San Fratello」の最新のプロジェクト「Teeter-Totter Wall(シーソーの壁)」。国境の両側の人々は、互いの姿を見ながら遊ぶことができる。
ラエルとフラテッロは、2009年にプロジェクトのコンセプト・スケッチを描き始めた。ラエルは、自分のInstagramで「この壁は、アメリカとメキシコの関係にとって文字通りの支点となり、子供と大人は、一方で行われる行動が他方に直接影響を及ぼすという認識のもとに、双方に意味のあるかたちで結ばれました」とコメント。また「artnet」のインタビューで、「壁とその不幸な政治は、国だけでなく、地域、都市、近所、家族、そして最近では子供と親をも分離しています」と語っている。
アメリカとメキシコの壁は、メキシコからアメリカ合衆国への麻薬の密輸や不法移民を防ぐため、アメリカ・メキシコ国境に沿ってつくられた一連の壁とフェンス。2017年、ストリートアーティストのJRはその壁のメキシコ側に、子供が壁に乗ってアメリカ側を眺める巨大なインスタレーションを発表した。
トランプ大統領は、16年の選挙期間中に「国境の壁」の建設計画を提案し、今年、それを建設するために連邦予算から57億ドルの資金拠出を求めていた。それに対し、アメリカ・シカゴの建築家グループ「New World Design」は、フロリダ州にあるトランプ大統領の別荘の周辺やメキシコとの国境に金色のフェンスを立ち上げるという皮肉るプロジェクトを発表した。