ヌードの女性と商業的なアイコンを描くことで知られているアメリカのポップ・アーティスト、メル・ラモスが、10月14日に亡くなった。
1935年7月24日に生まれたラモスは、アメリカのサクラメント州立大学で美術と美術史を学んだ。66年よりカリフォルニア州立大学イーストベイ校で教鞭を執り、97年に退職。その後もカリフォルニア美術大学で名誉教授として断続的に指導にあたっていた。
等身大のコカ・コーラのボトル、ラッキー・ストライクのたばこ、ホットドッグなど、アメリカを代表する商品のイメージとヌードの女性を合わせ、ひとつの大きなテーマとして作品を制作していたラモス。ロイ・リキテンスタインやジェームス・ローゼンクイスト、アンディ・ウォーホルなどのアメリカのポップアーティストと同時代に活動し、国際的な注目を集めていた。
「それがポップ・アートの始まりだった」と、ラモスの作品を47年取り扱ってきたニューヨーク拠点のギャラリスト、ルイス・K・マイゼルはアメリカのメディア・artnet newsに語っている。「多くの面では、メルはトム・ウェッセルマンや、リキテンスタイン、そしてもちろんウォーホルと同等でした。ウォーホルは3万6000点の作品を、ウェッセルマンは8000〜1万点の作品を残した。しかし、メルの作品はすべて手描きだったので、世界中には1000点の作品も残っていない。だから、彼の作品はあまり収集されていないのです。」
現在、ラモスの作品は、ニューヨーク近代美術館やソロモン・R・グッゲンハイム美術館、ホイットニー美術館など35以上の主要美術館のパーマネント・コレクションとして収蔵されている。
なお、ニューヨークのルイス・K・マイゼルギャラリーでは、「メル・ラモス:1963年のスーパーヒーローズ展(Mel Ramos – Superheroes of 1963)」が開催中。ラモス初期の女性のスーパーヒーローをテーマに描いたシリーズのうちの6点が展示されている。会期は11月10日まで。