変容する言語表現の現在地に迫る。
『美術手帖』3月号の特集は
「言葉の力。」

2月17日発売の『美術手帖』3月号の特集は、現代における言葉を多角的にひもとく「言葉の力。」。言葉の問題と向き合うアーティスト、詩人、歌人、ラッパー、ミュージシャン、演出家など、様々な表現者が登場する。

『美術手帖』2018年3月号より

 東日本大震災以降の日本において、言葉のありようは多様な変化をみせてきた。ネット上で短歌や詩を発信する書き手たちの登場、詩や言葉に関する美術館での展覧会の増加、日本語ラップの再ブームといった近年のできごとと、社会的背景にはどのような関係があるのか。

 『美術手帖』2018年3月号の特集「言葉の力。」は、言葉の問題に向き合うアーティストや詩人といった現代の表現者たちの取り組みを追うことで、諸刃の剣となる言葉の力に迫る内容だ。

『美術手帖』2018年3月号より

 Part1となる巻頭座談会には、歌人の穂村弘、ミュージシャンの柴田聡子、詩人・吉増剛造の個展を企画した学芸員の保坂健二朗が登場。「震災」「ジャンル横断」「SNS/悪い言葉」といったトピックスを中心に、2010年代を象徴する言葉や、言葉の持つ影響力、未来に向けた言語表現の展望などについて語り合った。

『美術手帖』2018年3月号より

 Part2「言葉を手繰る人々」には、言葉に関わる表現活動を行う人々のインタビューや対談を掲載。ヴァーバル・アート・ユニット「TOLTA」、言語表現とレイアウトの問題を模索する注目の若手グループ「いぬのせなか座」、展覧会で協働したアーティストの毛利悠子と詩人の大崎清夏、共同制作を行った公演『みえるわ』が全国巡演中の小説家・川上未映子と藤田貴大(マームとジプシー)など、領域を横断して活躍する作家たちが登場する。

『美術手帖』2018年3月号より

 Part3「言葉が紡がれる場」では、言葉に関わる刺激的な表現が生まれる「場」に注目。日本語ラップにおける共同体について考察するテキストや、独自の活動で人気を集める志人、GOMESSといったラッパーのインタビューを掲載。

『美術手帖』2018年3月号より

 また演出家・高山明/Port Bが「劇場と言葉」について語るインタビューや、歌人・斉藤斎藤を講師にむかえた誌上での歌会ワークショップも敢行。そのほか、東京オペラシティ アートギャラリーで個展を開催している谷川俊太郎のインタビューと展覧会レポートや、マンガ『月に吠えらんねえ』についてのエッセイなども掲載する。

『美術手帖』2018年3月号より

 さらに綴じ込み付録として、20ページにわたる「現代詩アンソロジー」を収録。いぬのせなか座が編集・デザインを担当し、現在活躍する気鋭の詩人の作品と、現代詩についての解説をあわせて掲載。現代詩に詳しくない人にとっても、詩の世界に踏み込んでみる、ひとつの道標となるはずだ。

編集部

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