吉岡徳仁は1967年佐賀県生まれ。86年に桑沢デザイン研究所を卒業後、倉俣史朗と三宅一生のもとでデザインを学び、2000年に吉岡徳仁デザイン事務所を設立。デザイン、建築、現代美術の領域で活動し、その詩的で実験的な作品は国内外で高い評価を得ている。
そんな吉岡の作品を象徴するものといえば「ガラス」だろう。本展「吉岡徳仁 光とガラス」は、その名の通り、吉岡のガラス作品に焦点を当てた個展だ。
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会場でまず鑑賞者を出迎えるのは、4.5メートルにもおよぶ巨大なガラスのテーブル《Waterfall》(2005-06)。スペースシャトルにも使用される光学ガラスが、太陽光を受けて様々な表情を見せる。
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内部では、パリのオルセー美術館にも設置されているガラスのベンチ《Water Block》をはじめ、これの発展形である三角形の《Water Block-KATANA》(2017)など、いずれも外の光を受け、プリズムを生み出す作品が並んでいる。
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また、本展では「セイコーウォッチ」と「イッセイ ミヤケ」とのコラボレーションで誕生した、ガラスの厚みを感じさせる時計《ISSEY MIYAKE WATCH PROJECT Glass Watch》(2017)や、ドン・ペリニヨンとのコラボレーションボトル《Prism》(2017)など、吉岡のプロダクトデザイナーとしての側面も見ることができる。
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「非物質気な光をどう表現するかを考えてきた」という吉岡。会場では、巨大なプリズムを屋上に置いて虹を体験する建築のモデル「虹の建築プロジェクト」(2010-17)など、今後の展開を期待させるものも。吉岡が見つめ続けてきた光とガラスの表現を、都会のど真ん中で体験したい。
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