1956年に山梨県に生まれた深澤直人。80年に多摩美術大学デザイン科のプロダクトデザイン専修を卒業後、国内外で幅広い活躍を見せ、「無印良品」をはじめ、水滴のような形の±0の加湿器、auの携帯電話「INFOBAR」など、誰もが一度は見たことがあるプロダクトをデザインしてきた。7月8日から開催の「AMBIENT」は、そんな深澤の国内初個展となる展覧会である。
これまで深澤は、「AMBIENT」「Without Thought(思わず)」「行為に相即するデザイン」「アウトライン」といった言葉で、自身の思想を説明してきた。例えば、本展のタイトル「AMBIENT」の直訳は「環境」だが、深澤はそれを「周囲」「雰囲気」としてとらえている。環境が求めたものを生み出し、それをその場に配置することによって、ものと空間の相互作用が生まれ、「いい雰囲気」が醸し出すことを目指している。
本展は、これら4つの言葉と実際の作品をともに配置することで、展示空間が作られている。居住空間に見立てた展示室には、電子精密機器や家具、インテリア、家電など、グッドデザイン賞を受賞したものから新作まで、約110点が展示される予定だ。
世界的プロダクト・デザイナーである深澤の思考を、具体的に目にすることができる本展。ぜひ足を運んでみてはいかがだろうか。