制作活動のかたわら、クールベやゴッホなどの画集の編集や、『ゴッホの手紙』(岩波書店)の翻訳に携わるなど西洋美術の紹介にも尽力した硲。マティスに招請され渡欧し、日本で行われるマティス展、ピカソ展、ブラック展、ゴッホ展のために折衝するなど、実務家としての側面も持ち合わせていた。
また硲は裕福な出自で、自身の研究のために作品収集したアートコレクターでもある。その一部であるマティス《コリウール》(1905)やルソー《イヴリー河岸》(1907頃)は、現在石橋財団に収蔵されるなど、アーティゾン美術館ともゆかりの深い作家のひとりだ。
東京で初めての回顧展となる本展では、油彩画、版画、磁器などの作品と資料83点、硲と関わりのあるアーティゾン美術館の西洋絵画コレクション17点、あわせて100点を展示。画家だけでなく、コレクター、展覧会の立役者という硲の多様な側面を紹介するこれまでの回顧展とは一線を画す内容となる。






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