今年7月に明らかにされた、青森県の新たなアートフェスティバル「AOMORI GOKAN アートフェス ―つらなりのはらっぱー」(会期:2024年4月13日〜9月1日)。その詳細が発表された。
同フェスは、2020年から「5館が五感を刺激する―AOMORI GOKAN」プロジェクトを発信してきた青森県内の5つの美術館・アートセンター(青森県立美術館、青森公立大学 国際芸術センター青森、弘前れんが倉庫美術館、八戸市美術館、十和田市現代美術館)が、「つらなりのはらっぱ」をテーマに連携する、初の試みだ。
同フェアスティバルは、2020年から「5館が五感を刺激する―AOMORI GOKAN」プロジェクトを発信してきた青森県内の5つの美術館・アートセンター(青森県立美術館、青森公立大学 国際芸術センター青森、弘前れんが倉庫美術館、八戸市美術館、十和田市現代美術館)が、「つらなりのはらっぱ」をテーマに連携する初めてのアートフェスティバル。
同フェスでは特定のディレクターは置かず、青森にという地域に根差して活動する各館のキュレーターが協働。展覧会やプロジェクト、パフォーマンスなど、それぞれの館の特徴を活かした多様なプログラムを企画し、新たな美術館のネットワークを探ろうというものだ。
実行委員長を務める青森県立美術館館長の杉本康雄は、「個性が違う美術館でのアートフェス、首都圏を中心に若い人々に来てもらいたい。県内の子供たちが楽しくアートに触れられるような企画も進めている」とコメント。「各館を巡ることで、結果的に青森県内の自然や食も楽しんでいただけるとうれしい。回を重ねて少しづつ大きくなり、青森で暮らしたくなるような地域づくりに貢献したい」と、青森への観光促進に寄与したい考えも示している。
具体的なプログラムを見ていこう。
青森県立美術館では、「かさなりとまじわり」が開催される(4月13日〜9月29日)。同館を設計した青木淳の「原っぱ」論を援用し、展示室だけでなく館内の様々な場所を展示に活用。展示室を含む各部屋を「原っぱ」に見立て、美術館全体に「つながり」を生み出すという。参加作家は原口典之、吉田克朗ほか。
世界中の作家が滞在制作を行う青森公立大学 国際芸術センター青森(ACAC)では、「currents / undercurrentsーいま、めくるめく流れは出会って」(4月13日〜9月29日)を開催。同展では、「current(現在、一定の方向に変わる流れを持つもの)」「undercurrent(目に見えない流れ)」をキーワードに、会期前後期で異なる2つの展覧会を展開。変化し続ける「いま」を取り込むことを目指すという。青野文昭、ジュマナ・エミル・アブード、岩根愛、是恒さくら、光岡幸一、中嶋幸治、鈴木正治、ジャスミン・トーゴ=ブリスビー、ロビン・ホワイトらが参加する予定だ。会場構成は山川陸。
田根剛による建築で知られる弘前れんが倉庫美術館は、展覧会「蜷川実花 with EiM:儚くも煌めく境界」とリサーチプロジェクト「弘前エクスチェンジ #06 『白神覗見考』」の2つを行う(4月6日〜9月1日)。蜷川実花展は、蜷川がデータサイエンティスト・宮川田章らと結成したクリエイティブチーム・EiMと協働する大規模個展となり、初公開を含む近作で展示が構成されるという。また弘前エクスチェンジには、狩野哲郎、佐藤朋子、永沢碧衣の3作家が参加する。
巨大な吹き抜けの空間「ジャイアントルーム」を持つ八戸市美術館では、「エンジョイ!アートファーム!!」を実施(4月13日〜9月1日)。同空間で磯島未来、漆畑幸男、しばやまいぬ、蜂屋雄士、東方悠平の5作家が来館者とともにつくり、楽しむプロジェクトを展開する。
十和田市現代美術館は、アートフェスのテーマである「はらっぱ」を自然と人間の交わるところととらえ、その関係性に注目した「野良になる」を開催(4月13日~11月17日)。丹羽海子、䑓原蓉子、永田康祐、アナイス・カレニンなど、多様な視点から自然をとらえる作家が紹介される。
なお、同フェスでは展覧会だけでなく、「連携のシンボル」となるような作品を設置予定。また県内の工芸や建築、自然などを周遊できるコースも設定される。個性的な5館をコンプリートする良い機会となりそうだ。