古代ローマと日本の入浴文化を体感する。「テルマエ展 お風呂でつながる古代ローマと日本」が山梨県立美術館で開催へ

絵画・彫刻・考古資料などを通じて、「テルマエ」を愛した古代ローマ人の人々の生活や日本の入浴文化にせまる「テルマエ展 お風呂でつながる古代ローマと日本」が、山梨県甲府市の山梨県立美術館で開催される。会期は9月9日~11月5日。

恥じらいのヴィーナス(ウェヌス・プディカ) 1世紀 ナポリ国立考古学博物館蔵 Photo © Luciano and Marco Pedicini

 古代ローマの文化において日本人が深い関心を寄せるもののひとつ「テルマエ(公共浴場)」。絵画・彫刻・考古資料などを通じてテルマエを愛した古代ローマ人の人々の生活や日本の入浴文化にせまる「テルマエ展 お風呂でつながる古代ローマと日本」が、山梨県甲府市の山梨県立美術館で開催される。会期は9月9日~11月5日。

 会場構成は、序章を含めた全5章立て。約100点以上の作品や映像、模型などを展示し、古代ローマ人の営みをテルマエを通じて体感できるものとなる。

 「序章 テルマエ/古代都市ローマと公共浴場」では、現代でも有名な「カラカラ浴場」やローマ市内最大級の「ディオクレティアヌス浴場」といった歴代皇帝らによって建設されてきたテルマエを通じて古代ローマの風呂文化を紹介。続く「第1章 古代ローマ都市のくらし」では、「庶民の日常」「娯楽」「饗宴」という3つの観点から、当時の暮らしぶりと大衆における格差の広がりにも焦点を当てる。

ヘタイラ(遊女)のいる饗宴 1世紀 ナポリ国立考古学博物館蔵 Photo © Luciano and Marco Pedicini

 古代ギリシャ人によって開発された、若者たちが運動後に体を洗う「水浴施設」や、「医療行為」として設けられた入浴施設を、古代ローマ人が娯楽施設としてテルマエを発展させたことがわかる資料が「第2章 古代ローマの浴場」で展示される。浴室以外に運動場や食事をする場所まで併設された古代ローマのテルマエは「文化サロン」のような様相を呈していたという。

銅製把手付ガラス壺 3~4世紀 MIHO MUSEUM蔵
アポロとニンフへの奉納浮彫 2世紀 ナポリ国立考古学博物館蔵 Photo © Luciano and Marco Pedicini

 「第3章 テルマエと美術」では、ローマの大規模なテルマエに設置されていたのと同じテーマの大理石彫刻が紹介される。皇帝や浴場の建設者の肖像のほかに、神々の像や古代ギリシャの有名作品のコピーなど、浴場にふさわしいものが選ばれていたのだという。

恥じらいのヴィーナス(ウェヌス・プディカ) 1世紀 ナポリ国立考古学博物館蔵 Photo © Luciano and Marco Pedicini

  いっぽう日本国内においても「温泉」や「銭湯」といった公共浴場の文化がいまなお続いている。「第4章 日本の入浴文化」では、日本の入浴に関する美術品や資料を紹介。古くから重要な資源として、各地で守り、利用されてきた温泉や、江戸時代の湯屋などの公衆浴場から入浴の歴史を紐解いていく。

土佐光起 武田信玄像 貞享5年(1688) 山梨県立博物館蔵
※展示期間:9月9日〜10月9日

 なお、本展会期中には様々な関連イベントが実施予定だ。詳細は公式ウェブサイトでチェックしてほしい。

編集部

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