今年9月に東京都美術館で開催が予定されている「永遠の都ローマ展」。古代ローマ彫刻の傑作《カピトリーノのヴィーナス》が来日し、東京会場限定での展示が決定した。
教皇のコレクションを核に設立され、1734年に一般公開が始まったカピトリーノ美術館。本展は、同館の所蔵品を中心に「永遠の都」と称されるローマの歴史と芸術を紹介するもの。ローマ建国から古代の栄光、教皇たちの時代から近代まで、約70点の彫刻、絵画、版画などが展示される予定だ。
《カピトリーノのヴィーナス》は、古代ギリシア最大の彫刻家プラクシテレスの女神像(前4世紀)に基づく2世紀の作品。ヴィーナス像に典型的な恥じらいのポーズをとるこの作品は、ミロのヴィーナス(ルーヴル美術館)、メディチのヴィーナス(ウフィッツィ美術館)に並ぶ古代ヴィーナス像の傑作として知られており、カピトリーノ美術館以外では滅多に見る機会がない門外不出の作品だ。
本展は、5章と特別展示「カピトリーノ美術館と日本」によって構成。ローマのシンボルとも言える作品「カピトリーノの牝狼」を出発点とした第1章「ローマ建国神話の創造」では、軍神マルスと巫女レア・シルウィアのあいだに生まれた双子ロムルスとレムスを育てる牝狼の物語に基づいた《カピトリーノの牝狼(複製)》などを展示し、古代ローマの建国を伝える伝承や神話を紐解く。
第2章「古代ローマ帝国の栄光」では、歴代ローマ皇帝の肖像をはじめ、ローマ帝国ゆかりの女性たちの肖像など、それぞれの「時代の顔」を通じて栄光の時代をたどる。加えて、帝国の栄華を象徴する《コンスタンティヌス帝の巨像》は一部を原寸大複製で展示。頭部だけで高さ約1.8メートルのスケールをもつ迫力の巨大作品だ。
第3章「美術館の誕生からミケランジェロによる広場構想」では、カピトリーノ美術館の起源からミケランジェロの都市計画までの展開を絵画、版画などで紹介。第4章「絵画館コレクション」では、同館の絵画館コレクションより、ドメニコ・ティントレットやピエトロ・ダ・コルトーナなど16世紀から18世紀に活躍した画家たちの作品を中心に展覧する。
第5章「芸術の都ローマへの憧れ―空想と現実のあわい」では、古代遺跡の宝庫であるローマの古代建築やその装飾に着目し、古代記念碑「トラヤヌス帝記念柱」をモティーフとする版画や模型、ピラネージ、ファン・ウィッテル、カノーヴァらの名品を紹介。外国人芸術家たちにとって重要な芸術的霊感源となったローマ美術の再解釈をめぐり、思索や夢想へと誘う。