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雪舟

Sesshu

 雪舟は室町時代の禅僧、水墨画家。1420(応永27)年、備中国赤浜(岡山県総社市)に生まれる。幼い頃に地元の宝福寺に預けられ、京都に出て相国寺、次いで東福寺に入ったと伝わるが、周防国(山口県)に移る30代半ばまでの前半生については不詳。67(応仁元)年、遣使船で中国へ渡航。現地の禅僧と交わり、水墨画を学ぶ。とりわけ前代の夏珪や李唐らの作品に関心を寄せた。寧波郊外の天童寺にて「第一座(首座)」の称号を得たことを生涯誇りとし、晩年、弟子の宗淵に贈った《破墨山水図》(1495)など、たびたび作中にその号を書き入れている。

 およそ2年の渡航経験を消化して完成した雪舟画の特徴は、代表作《秋冬山水図》(15世紀末〜16世紀初)に見られるように、個々のモチーフは一種の荒さをそなえた動的なものでありながら、全体にはどっしりと安定感のある風景にまとめ上げる、巧妙な構築性と言えるだろう。九州を含む西日本を中心に活躍し、多くの名作を残したが、正確な没年も不明。江戸時代に狩野派が流派のルーツとして高く評価し、諸大名がこぞって雪舟作品を求め、「画聖」と称されるほどの神格化を見た。