ひと目見れば忘れられない表情を持った動物たち。ステファニー・クエールの新作個展「Animal Instinct」が、東京・神宮前のGallery 38で開催される。会期は5月11日〜6月25日。
ステファニー・クエールは1982年生まれ。2005年にロンドンのスレード・スクール・オブ・アートにて首席で美術学士号を取得し、07年にロイヤル・カレッジ・オブ・アート彫刻学科修士課程を修了した。近年、日本では「Human and Animal」)岐阜県現代陶芸美術館/滋賀県立陶芸の森/岩手県立美術館、2021-22)や「野生展:飼いならされない感覚と思考」(21_21 DESIGN SIGHT、2017)などの展示に参加するほか、金沢のプライベートミュージアム「KAMU」にその作品が常設されている。
ステファニー・クエールの人生とアートは、アイルランド、アングロサクソン、バイキング、ノルウェー、スコットランド、イングランドからの影響が色濃い古代文明の遺跡が残るマン島と密接な関係にあるという。この島で生まれ育ち、現在も家族の農場で両親とともに羊や牛を育てながら、かつての風車小屋で作品を制作しているクエール。その作品は直接的かつ即興的で、粘土は指や手や腕を使ってこねられ、投げられ、伸ばされ、制作途中の痕跡が残るように形づくられたあと、自身の農場にある窯で焼成される。
Gallery 38で4年ぶりとなる本展では、マン島の自宅周辺から掘り出され た土も一部使用。ヒンズー教で神聖な生き物とされる牛をはじめ、スカベンジャーとして生態系のサイクルを体現し、チベット人や古代エジプト人に崇拝されるハゲワシ、古代エジプト人に崇敬され恐れられたヒヒ、インドで神聖視されながら他の地域では悪者にされているネズミなどが展示される。また、遺伝子的に人間ともっとも近いとされるチンパンジーや、大地を肥やすためにイザナギとイザナミのもとへ遣わされたとされるセキレイ、ケルト文化において人間と大地、月、季節、寓話、神話、狂気との関係を象徴するウサギも発表される。
新石器時代や古代ギリシャの壺に使われたものと同じ材料を使い、4万年の人類の歴史のなかで現れてきた動物のイメージの探求を続けてるステファニー・クエールの実践に注目だ。