ゴールデンウィークはどこへ行く? 連休に見るべき45の展覧会をピックアップ

まもなく始まる2023年のゴールデンウィーク。連休を利用して訪れたい、編集部注目の展覧会を東から西にかけて紹介する。

「部屋のみる夢 ― ボナールからティルマンス、現代の作家まで」(ポーラ美術館)展示風景より、左からヴォルフガング・ティルマンス《静物、ボーン・エステート》(2002)、《草》(2014)

自然の営みから発露するかたちと表現に注目。「発現する布—オセアニアの造形と福本繁樹/福本潮子」(国際芸術センター青森)

展示風景より

 八甲田山麓に位置する青森公立大学 国際芸術センター青森(ACAC)。この自然豊かな地において、染色を通じてオセアニアと日本の造形論を読み解く福本繁樹と、日本の伝統と現代的な技法から藍染めの可能性を追求し続ける福本潮子の展示「発現する布—オセアニアの造形と福本繁樹/福本潮子」が開催されている。展覧会のレポートはこちら。

 本展は、3つの作品群によって表現媒体としての「布」の可能性に着目するもの。南太平洋メラネシアのタパ(樹皮布)や編み布など、織物以前から伝わる手仕事による布や、オセアニアと日本の造形論への洞察を通して「染め」にしかできない表現を追求してきた福本による作品、そして藍のもつ透明感や精神性を美術へと昇華し、地方の生活と労働のなかで生み出された古い自然布を用いた福本による作品は、鑑賞者に自然と人の関わりあいから生まれたかたちや表現について思いを馳せるきっかけを与えてくれる。

会期:2023年4月15日〜6月18日
会場:国際芸術センター青森
住所:⻘森市⼤字合⼦沢字⼭崎152-6
電話番号:017-764-5200 
開館時間:10:00~18:00 
休館日:会期中無休
料金:無料

青森の風物や信仰をインスタレーションで体感する。「大巻伸嗣展」(弘前れんが倉庫美術館)

展示風景より、⼤巻伸嗣《Echoes Infinity -trail-》(2023)

 空間全体をダイナミックに変容させ、観る⼈を異世界に誘うような幻想的なインスタレーションやパブリック・アートで広く知られる⼤巻伸嗣。その東北地方初となる個展が、弘前れんが倉庫美術館で開催されている。展覧会レポートはこちら

 大巻は1971年岐⾩県⽣まれ、神奈川県在住。「存在」とは何かをテーマに制作活動を展開し、環境や他者といった「外界」と、記憶や意識などの「内界」、その境界である「⾝体」の関係性を探り、三者の間で揺れ動く、曖昧でとらえどころのない「存在」に迫るための空間創出を試みるアーティストだ。日本のみならず、アジアやヨーロッパなど世界各地でその⼟地の⾵⼟や記憶を反映させた作品を発表してきた。

 今回、⼤巻は展覧会に先駆け、⻘森県内各地の⾵物や⾃然、信仰のかたちなどを取材。⼈々の声に⽿を傾けるなかで、⼈や⾃然、物質世界や精神世界の⽣と死が円環を成すような死⽣観というテーマにたどり着いたという。展覧会では、⼀枚の薄い布が⼤きく波打つように有機的に動き、⼈々のなかに眠っている⾝体感覚を呼び覚ます近年の代表作のひとつ、「Liminal Air Space-Time」シリーズをはじめ、新作インスタレーションを中⼼に展示が行われている。

会期:2023年4⽉15⽇〜10⽉9⽇
会場:弘前れんが倉庫美術館
住所:⻘森県弘前市吉野町2-1
電話番号:0172-32-8950 
開館時間:9:00〜17:00 ※⼊館は閉館の30分前まで 
休館日:火 
料金:⼀般 1300円 / ⼤学⽣ 1000円 / 高校生以下、弘前市内の留学⽣、満65歳以上の弘前市⺠は無料

エールを送る「ハグ」のマインド。「美しいHUG!」(八戸市美術館)

八戸野点2022in美術館マエニワ 撮影=蜂屋雄士

 八戸市美術館が掲げる「出会いと学びのアートファーム」のコンセプトを、「展覧会」と「プロジェクト」というふたつの柱で体現する企画が「美しいHUG」だ。ゲストキュレーターに、元水戸芸術館の学芸員で現在は東京都歴史文化財団で様々なプロジェクトを統括する森司を迎える。

 相手に愛情や友好関係を表現するコミュニケーション「HUG(ハグ)」をテーマに、他者と必ずしも同一になるのではなくそれぞれが異なったまま出会い、リスペクトしながら、エールを送り合うような「ハグ」のマインドを探るものとなる。

 本展に先がけて、22年度にはプロジェクトがスタートしており、きむらとしろうじんじんとの野点プロジェクトや、タノタイガの作品《タノニマス》をサポートする「タノミマスプロジェクト」などを行っている。4月29日からの展覧会には、青木野枝、井川丹、川俣正、きむらとしろうじんじん、黒川岳、タノタイガが参加する。

会期:2023年4月29日~8月28日
会場:八戸市美術館
住所:青森県八戸市大字番町10-4
電話番号:0178-45-8338 
開館時間: 10:00〜19:00 ※⼊館は閉館の30分前まで 
休館日:火(5月2日、8月1日、15日) 
料金:一般 500円 / 高校生以下無料

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