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福本繁樹
Shigeki Fukumoto
福本繁樹は1946年滋賀県生まれ。京都市中京区蟷螂山(とうろうやま)町で育ち、山野で蝶などの昆虫採集に夢中になる。63〜70年頃まで油絵を主に制作し、京展などに出品、京都市立美術大学西洋画科で学ぶ。このあいだ、日本の山に登り始める。通学の傍ら、病気療養中の父親に代わって89年まで和装染色業(着物の染色・蠟染め)を自営。京都市立美術大学ニューギニア美術調査隊に参加するなど、69〜90年にかけて南太平洋美術を探査し、著作にも注力する。76年、『メラネシアの美術』(求龍堂)の出版を機に染色家として作品発表を本格化させ、90年代初頭の国際ローザンヌ・ビエンナーレ(スイス)や国際タピスリー・トリエンナーレ(ポーランド)への参加など、現代美術やファイバーアートの領域でも国際的に活動。京都を拠点に、「染め」が世界にも稀な日本固有の文化であることを論証・実践し、染色・工芸論講義や民族藝術学会での研究活動にも精力的に取り組む。近年は「する」から「なる」へ、自然の理や現象にまかせた「なるほど染め」を考案。「日本の美」を伝えてきた、35年にわたる活動の軌跡を集約した作品集『愚のごとく、然りげなく、生るほどに』(淡交社)を2017年に刊行した。