匿名で政府や企業に関する機密情報を公開するウェブサイトとして知られるウィキリークス。同サイトがロンドンを拠点とするアート団体「a/political」とコラボレーションした初の展覧会「States of Violence」が、3月24日〜4月8日に開催される。
ウィキリークスは、2006年にオーストラリアのジャーナリストであるジュリアン・アサンジによって設立。内部告発者が匿名性を保ちながら提供した、検閲やその他の制限を受けた機密文書を1000万件以上公開してきた。その結果、創設者のアサンジは、アメリカへの引き渡しに備えてロンドンの刑務所に留置されており、スパイ活動法により175年の懲役を受ける可能性に直面している。
本展では、アイ・ウェイウェイやドレッド・スコットなどのアーティスト、活動家が、戦争、拷問から警察の残虐行為、監視まで、政府による弾圧の手法に異議を唱える作品や資料が公開。また、2010年にウィキリークスが公表した米国外交文書のうち最高機密である「SECRET」と「NOFORN」(外国人不可の意味)の文書からなる、Institute for Dissent & Dataloveの作品群「SECRET+NOFORN」(2022)も展示される予定だ。
この作品は過去最大規模の政府機密文書の物理的出版物で、イギリスではこれまで出版されたことがなかったという。これらの出版物を開いた者は、1917年に制定されたアメリカのスパイ活動法によって訴追される危険性があり、本展では来場者に文書の一部を開示するという。「来場者全員が、能動的であれ受動的であれ、アサンジが余罪に直面しているのと同じ犯罪に関与することになり、法の見えない危険性を私たち全員に知らしめようとする試みなのだ」(プレスリリースより)。
ウィキリークスのアンバサダーであるジョセフ・ファレルは声明文で、「人間は壁で囲うことができる。武装した警備員が彼らの一挙手一投足を監視することができる。政府は、彼らの声が外の世界に届くのを阻止するために最大限の努力をすることができる。しかし、思想は檻に入れることはできない」としつつ、「この真実に命を吹き込み、芸術と文化を通じて、アサンジを投獄しても動き出したものを止めることはできない、真実は語られずにはいられないということを証明する」とコメント。
a/politicalのスポークスパーソンはこう付け加えている。「言論の自由を守る戦いほど重要な戦いはないだろう。文化はこれらの秘密が暴露され得る最後の自由な空間だ」。