神奈川県箱根町にあるポーラ美術館が2023年の企画展ラインナップを発表した。近代から現代までの個性にあふれた作家たちによる多彩な室内の表現に迫る「部屋のみる夢―ボナールからティルマンス、現代の作家まで」展や、近代から現代に至る「日本画」の展開に注目する「シン・ジャパニーズ・ペインティングー革新の日本画(仮)」展の開催を予定しているという。
23年のスタートを飾る「部屋のみる夢―ボナールからティルマンス、現代の作家まで」(1月28日~7月2日)は、パンデミック以降人々がより多くの時間を過ごした「部屋」に焦点を当てるもの。外の世界から隔絶され、閉塞感と隣り合わせの生活であった反面、大切な人たちとかけがえのない時間を過ごし、日常に彩りを与えてくれる部屋。その表現に特徴のある、19世紀から現代に至るまでの作家を取り上げることで、この小さな世界のなかで織りなされる親密な記憶や夢想のありようを、あらためて見つめ直すきっかけを提示する。
出品作家は、ベルト・モリゾ、ヴィルヘルム・ハマスホイ、ピエール・ボナール、エドゥアール・ヴュイヤール、アンリ・マティス、ヴォルフガング・ティルマンス、髙田安規子・政子、佐藤翠&守山友一朗。
続く「シン・ジャパニーズ・ペインティングー革新の日本画(仮)」(7月15日~12月3日)は、近代から現代に至る「日本画」の展開について改めて注目し、その将来について考えるもの。
日本における伝統的な絵画と西洋画の接触により、明治期以降に進化を遂げた比較的新しい歴史を持つ「日本画」。この日本の近代国家としての形成期に誕生した日本画に対して、当時の画家たちは「近代とは、日本とは、国家とは何か」などの不断の問いと向き合うことを余儀なくされた。
第二次世界大戦後は、近代国家の崩壊による日本画滅亡論が唱えられたものの、近代日本画を乗り越えて「新しい日本絵画の創造」を目指した現代日本画の担い手たちの活躍により、日本画は新たなフェーズへと進んだ。
グローバル化に伴い、ローカルの美術や文化の重要性があらためて見直されるなか、本展では21世紀のアートシーンにける日本画の可能性を探るものとなるという。
出品予定作家は、橋本雅邦、高橋由一、狩野芳崖、菱田春草、黒田清輝、岡田三郎助、和田英作、小杉未醒、レオナール・フジタ(藤田嗣治)、横山大観、杉山寧、東山魁夷、髙山辰雄ほか。