札幌国際芸術祭(SIAF)の傍らで、北国ならではのクリエイティビティを模索し、研究開発(R&D)に基づいた実験的なアートプロジェクトを展開するSIAFラボが、北海道大学科学技術コミュニケーション教育研究部門CoSTEP(コーステップ)と、札幌文化芸術交流センター SCARTS(スカーツ)と共同で立ち上げたR&Dプラットフォーム「S.I.D.E.(サイド)」。そのアートプロジェクトとして、半世紀前の「孤島をまるごと楽器化する」幻の計画を再考し、
モエレ沼公園で8月21日に公開実験を行うほか、札幌文化芸術交流センター SCARTSで展示を行う。展示会期は8月28日から9月4日。
「孤島をまるごと楽器化する」幻の計画とは、半世紀前に音楽家のデーヴィッド・チュードアや芸術家の中谷芙二子らが構想し未完となっているコンサート計画《Island Eye Island Ear》(IEIE)を指す。IEIEは、スウェーデンの孤島をまるごと楽器化するという構想に基づき、サウンドビームや霧、凧などを用いて「島の自然を露わにすること」を計画していた。
「S.I.D.E. 」のアートプロジェクト「Side Effects 2022-2024」はその未完の計画の実現可能性を現代の北海道で探るものだ。イベントシリーズ第一弾としてモエレ沼公園では、チュードアが考案した「サウンドビーム」にまつわる実験記録を参照し、当時用いられたパラボリックアンテナに加え、当時は存在しなかった、超音波で特定の方向だけに音を届けるパラメトリックスピーカーを使って、屋外での公開実験を行う。
札幌文化芸術交流センター SCARTSでは、公開実験で収録した音を再生するほか、IEIEが辿ってきた歴史や活動を通じて出会った人や物事をさまざまな視点で関連付け、俯瞰できる空間的年代記を制作。アーカイブ映像や北海道大学研究者へのインタビュー映像とともに展示される。